■オイラーのエラスチカからミウラ折りへ(その1)

 ピアノ線は剛性の大きい細い線であるが,その両端の位置や接線方向を指定すると美しい滑らかな曲線が得られる.ピアノ線が自分で最適な形を選ぶのであるが,オイラーのエラスチカ(弾性曲線)と呼ばれている.

 スポーツカーの日除けやテントの縁にもピアノ線が入っていて,くるりとねじると畳めるようになっている.

 ミウラ折りは弾性曲線(1次元)を薄い膜(2次元)に置き換えたものとして発見された.このミウラ折りの性質は独特の利用分野を開いてくれる.

[写真提供]東京理科大学・近代科学資料館

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【1】ミウラ折りと宇宙工学

 宇宙構造物の設計者,三浦公亮先生は不思議な開閉をする折り畳み式構造物を考え出された.これがミウラ折りであるが,学問的な名称は「可展二重波形面」(DDC surface)で,いたるところガウス曲率が0の展開可能面である.折り紙でモデルを作ることができるのはそのためである.

 ミウラ折りは人工衛星の展開式太陽電池パネルやソーラーセイルに採用された.また,タチ・ミウラ多面体はミウラ折りユニットをを組み合わせてできる畳める筒状体である.

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