■学会にて(京大数理解析研,その5)

 黄金比φには多くの性質があり,

  1,φ,φ^2 ,φ^3 ,φ^4 ,φ^5 ,・・・

という等比数列を考えると,1+φ=φ^2 ですから

  φ^n =φ^n-1 +φ^n-2

 ここで,ガウス記号[x](xを超えない最大の整数)を用いると,数列{[φ^n-1 ]}の各次数に対応して得られる整数列は

  1,1,2,3,5,8,13,・・・

初項1,第2項1から始まり,隣り合う2項の和が次の項となる数列,すなわち,フィボナッチ数列{Fn }となります.

  Fn =[φ^n-1 ]

すなわち,φ^n-1を切り捨てたというわけです.

 逆に,初項1,第2項1のフィボナッチ数列の一般項Fn は,

 Fn =Fn-1 +Fn-2

Fn =1/√5[{(1+√5)/2}^n −{(1−√5)/2}^n ]

  =1/√5{φ^n −(−1/φ)^n }

F0 =0)

と黄金比φを使って表すことができます.

 この式は1765年にオイラーが初めて発表したものですが,みんなに忘れられていてそれを再発見したビネにちなんでビネの公式(1843年)と命名されています.整数の数列に無理数である√5や黄金比φ,1/φが出現する不思議に驚かれた経験をお持ちの方の少なくないでしょう.nが大きくなるほど{(1−√5)/2}^n は0に近づきますから,この項を無視するとフィボナッチ数列は黄金比を公比とする等比数列に次第に近づくことになります.

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