■おかあさんのための数学教室(その23)

 (その19)を補足.

 通常のサイコロ2つを振ったときでる目の合計は,

   1  2  3  4  5  6

1  2  3  4  5  6  7

2  3  4  5  6  7  8

3  4  5  6  7  8  9

4  5  6  7  8  9  10

5  6  7  8  9  10  11

6  7  8  9  10  11  12

となって,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12はそれぞれ1,2,3,4,5,6,5,4,3,2,1回現れる.

 通常のサイコロの母関数は

  P(x)=x+x^2+x^3+x^4+x^5+x^6

      =x(x+1)(x^2+x+1)(x^2−x+1)

であり,2つを振ったときでる目の合計の母関数は

  {P(x)}^2=x^2(x+1)^2(x^2+x+1)^2(x^2−x+1)^2

=x^2+2x^3+3x^4+4x^5+5x^6+6x^7+5x^8+4x^9+3x^10+2x^11+x^12

になる.

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 2個投げたとき目の和の出方が普通のサイコロとまったく同じになるおかしな6面のサイコロがシチャーマンのサイコロである.

  {P(x)}^2=x^2(x+1)^2(x^2+x+1)^2(x^2−x+1)^2

6面であるからどちらのサイコロもx,x+1,x^2+x+1をもたなければならない.したがって,自由に選べる項は(x^2−x+1)^2のみである.

  Q(x)=x(x+1)(x^2+x+1)=x+2x^2+2x^3+x^4

  R(x)=x(x+1)(x^2+x+1)(x^2−x+1)^2=x+x^3+x^4+x^5+x^6+x^8

  Q(x)R(x)={P(x)}^2

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[まとめ]シチャーマンのサイコロの唯一の解は

 一方のサイコロの目は{1,2,2,3,3,4}

 他方のサイコロの目は{1,3,4,5,6,8}

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