■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その11,杉岡幹生)

 ゼータ分割に関し、新たな事実がわかりましたのでお伝えします。ゼータは、どこまでも細かく分割可能なようです。

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 先にL(s)の2分割をお伝えしましたが、今回L(s)は4分割、8分割の場合を出すことができました。そして美しい規則性からL(s)ゼータは2^n分割できることがわかりました。つまり2分割、4分割、8分割、16分割、32分割・・・どこまでも無限に細かく分解でき、その個々のパーツ(級数)の値が全て求まっていくのです。

L(s)のL(1)の場合を考察します。つまりライプニッツの公式の分割を試みます。

 L(1)=1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 + 1/17 -1/19 +・・

=π/4 ---@

 この2分割は以前お伝えした通り、次となります。

■2分割

 1 -1/7 +1/9 -1/15 +1/17 -1/23 +1/25 -1/31 +・・

=(π/8)tan(3π/8)=(√2 +1)π/8

 1/3 -1/5 +1/11 -1/13 +1/19 -1/21 +1/27 -1/29 +・・

=(π/8)tan(π/8)=(√2 -1)π/8

 上式−下式=L(1)=π/4です。これは”真の分割”となっています。

さて今回、@の4分割、8分割ができたわけですが,次の通りです。

■4分割

 1 -1/15 +1/17 -1/31 +1/33 -1/47 +1/49 -1/63 +・・

=(π/16)tan(7π/16) ---A1

 1/3 -1/13 +1/19 -1/29 +1/35 -1/45 +1/51 -1/61 +・・

=(π/16)tan(5π/16) ---A2

 1/5 -1/11 +1/21 -1/27 +1/37 -1/43 +1/53 -1/59 +・・

=(π/16)tan(3π/16) ---A3

 1/7 -1/9 +1/23 -1/25 +1/39 -1/41 +1/55 -1/57 +・・

=(π/16)tan(π/16) ---A4

これらはL(1)の”真の分割”となっています。

 A1 -A2 +A3 -A4 =L(1)=π/4 であることがわかります。

 なお、tanを計算した結果は、以下の通りです。

tan(7π/16)=(1 +√2 +√(4+2√2))、

tan(5π/16)=(-1 +√2+√(4-2√2))

tan(3π/16)=(1 -√2 +√(4-2√2))、

tan(π/16)=(-1 -√2 +√(4+2√2))

 上記4式に対しExcelマクロで数値検証を実行しましたが、全て左辺の級数は右辺値に収束しました。

■8分割

 1 -1/31 +1/33 -1/63 +1/65 -1/95 +1/97 -1/127 +・・

=(π/32)tan(15π/32) ---B1

 1/3 -1/29 +1/35 -1/61 +1/67 -1/93 +1/99 -1/125 +・・

=(π/32)tan(13π/32) ---B2

 1/5 -1/27 +1/37 -1/59 +1/69 -1/91 +1/101 -1/123 +・・

=(π/32)tan(11π/32) ---B3

 1/7 -1/25 +1/39 -1/57 +1/71 -1/89 +1/103 -1/121 +・・

=(π/32)tan(9π/32) ---B4

 1/9 -1/23 +1/41 -1/55 +1/73 -1/87 +1/105 -1/119 +・・

=(π/32)tan(7π/32) ---B5

 1/11 -1/21 +1/43 -1/53 +1/75 -1/85 +1/107 -1/117 +・・

=(π/32)tan(5π/32) ---B6

 1/13 -1/19 +1/45 -1/51 +1/77 -1/83 +1/109 -1/115 +・・

=(π/32)tan(3π/32) ---B7

 1/15 -1/17 +1/47 -1/49 +1/79 -1/81 +1/111 -1/113 +・・

=(π/32)tan(π/32) ---B8

これらはL(1)の”真の分割”となっています。

 B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8=L(1)=π/4 ----A

となっています。

上記8式に対しExcelマクロで数値検証を実行しましたが、全て左辺の級数は右辺値に収束しました。Aの”B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8”が右辺のπ/4に収束することも確認しました。

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 上記式の導出過程を簡単に述べます。ゼータの香りの漂う公式

 1/(1^2+a^2) +1/(3^2+a^2) +1/(5^2+a^2) +1/(7^2+a^2) +・・

=(π/(4a))・{e^(aπ)-1}/{e^(aπ)+1}

を使います。 以下のようにaに複素数を代入することで、分割された級数

が次々に求まっていきます。

 @のaに複素数7i/8を代入すると、A1が得られる。

 @のaに複素数5i/8を代入すると、A2が得られる。

 @のaに複素数3i/8を代入すると、A3が得られる。

 @のaに複素数 i/8を代入すると、A4が得られる。

 @のaに複素数15i/16を代入すると、B1が得られる。

 @のaに複素数13i/16を代入すると、B2が得られる。

 @のaに複素数11i/16を代入すると、B3が得られる。

 @のaに複素数 9i/16を代入すると、B4が得られる。

 @のaに複素数 7i/16を代入すると、B5が得られる。

 @のaに複素数 5i/16を代入すると、B6が得られる。

 @のaに複素数 3i/16を代入すると、B7が得られる。

 @のaに複素数 i/16を代入すると、B8が得られる。

以上。

 2分割、4分割、8分割の式を見てもらうとわかるように、非常に美しい規則性が現われています。したがって、16分割や32分割の場合も、ほとんど計算なしで、個々のパーツ(級数)の値を求めることが可能と思います。単純なアルゴリズムの世界です。

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 つい先日、ゼータの分割は有限なのか?無限に多く分割できるのか?を疑問(問題)として問うたわけですが、L(s)ゼータに関しては、無限に多く分割できるとわかりました。

 今回L(s)のs=1の場合のL(1)を見ましたが、L(3)、L(5)・・でも同様に分割できるはずです。しかしsが大きくなるにつれ、計算は非常に大変になっていきます。ゼータの香り式ではs=1の場合がもっとも計算が楽なのです。

 L(s)は少なくとも2^n分割可能ですが、12分割や24分割などはおそらくできないと思われます。ただし実験して調べる必要はあります。

 L(χ,s)ゼータにおけるL(s)以外のゼータもおそらく無限に分割できると予想しますが、それはまだよくわかっていません。(リーマンゼータζ(s)だけは例外であり、分割はまったくできないはずです)

 今回わかった「L(s)は無限に分割可能である」ということは、知られている事実かどうかはわかりませんが、私には驚異的なことに思えます。   (杉岡幹生)

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