■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その9,杉岡幹生)

 L(1)の続いて、L(3)の分割(枝分かれ)が求まったのでお知らせします。

L(3)=1 -1/3^3 +1/5^3 -1/7^3 +1/9^3 - 1/11^3 +1/13^3 -1/15^3・・

  =π^3/32

が割れた(分裂した)場合のそれぞれの級数が求まりました。

 結果から示すと、次となります。

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1 -1/7^3 +1/9^3 -1/15^3 +1/17^3 -1/23^3 +1/25^3 -・・

=(3√2 +4)π^3/256 ---@

1/3^3 -1/5^3 +1/11^3 -1/13^3 +1/19^3 -1/21^3 +1/27^3 -・・

=(3√2 -4)π^3/256 ---A

 @からAを引くと、L(3)になります。@ -A=L(3)です。

 前回のL(1)の場合もそうですが、ゼータが真っ二つに割れた!(分裂した)ということが起こっています。L(3)は@とAから構成され、それぞれの値が求まるというのが非常に面白いです。

 この現象から、”枝分かれ”というよりは”分割”や”分裂”の方が言葉としては合っている気がします。

 さて、@、Aの導出方法を簡単に述べます。ゼータの香りの漂う公式

 1/(1^2+a^2) +1/(3^2+a^2) +1/(5^2+a^2) +・・

  =(π/(4a))・(e^(aπ)-1)/( e^(aπ)+1)

をaについて2階微分した次のBを使います。

 1/(1^2+a^2)^3 +1/(3^2+a^2)^3 +1/(5^2+a^2)^3 +・・

=(π/32)[(3/a^5){e^(2aπ)-2aπe^(aπ)-1}/{e^(aπ)+1}^2-(2π^2/a^3)e^(aπ){e^(aπ)-1}/{e^(aπ)+1}^3] ---B

 Bのaに複素数3i/4を代入すると@が得られます。複素数i/4を代入するとAが出ます。このやり方はL(1)の場合と同じです。同じですが、計算量は大幅に増えます。途中ζ(2)とL(1)も出てきてその値も利用します(ζ(2)=π^2/6, L(1)=π/4)。最後に@、Aに関する連立方程式がたって、うまいことそれらの値(@、A右辺)が求まります。

 Bの右辺は複雑に見えますが、じつは計算量を減らす工夫の変形ができ、見かけほどではありません。

 今回の分割もL(1)と同様に、もちろん”本物の分割”(枝分かれ)となっています。ここで、見かけの分割、本物の分割についてすこし述べます。次のものはζ(2)の本物の分割(分身)でしょうか?

1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2+・・ ---C

じつはこれは、見せかけの分割です。なぜなら、

1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2+・・

=1 +1/2^2 +1/3^2 +1/4^2 +1/5^2 +1/6^2+・・-(1/2^2 +1/4^2 +1/6^2 +1/8^2 +・・)

=ζ(2) -1/2^2(1 +1/2^2 +1/3^2 +1/4^2 +・・)

=ζ(2) -1/2^2ζ(2)

=(1-1/2^2)ζ(2)

と変形できるからです。Cはζ(2)そのものなのです。少し前私は、LA(1)ゼータのこの種の見せかけの分身の術に騙されてしまったのですが・・・。

 このような 級数の値=(有理数)×ゼータ値 --D

の場合は要注意というわけです。

 さて今回の@,Aを再び見ると、右辺は次のような値です。

1 -1/7^3 +1/9^3 -1/15^3 +1/17^3 -1/23^3 +1/25^3 -・・

=(3√2 +4)π^3/256 ---@

1/3^3 -1/5^3 +1/11^3 -1/13^3 +1/19^3 -1/21^3 +1/27^3-・・

=(3√2 -4)π^3/256 ---A

 右辺には√2があります。したがってL(3)=π^3/32との関係は、Dのようにはならず、よって@、AはL(3)の本物の分裂となっているのです。

 この分裂したもののさらなる分裂(分割)は可能なのでしょうか。まったくわかりませんが、一つわかるといろいろと疑問(問題)が湧いてきます。   (杉岡幹生)

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