■オイラーと整数の分割関数(その10)

 たとえば,正の整数nに対して,

  n=k1+2k2+3k3   (k1≧0,k2≧0,k3≧0)

となる解(k1,k2,k3)の個数をanとします.

 このディオファントス方程式は,整数nは数1,2,3の加法によって何通りの方法で表されるのか,ただし和の順序は問題にしない・・・と同値です.

 n=5の場合,

  1+1+1+1+1 → (5,0,0)

  1+1+1+2  → (3,1,0)

  1+1+3   → (2,0,1)

  1+2+2   → (1,2,0)

  2+3    → (0,1,1)

ですから,a5=5となります.

  a0=1,a1=1,a2=2,a3=3,a4=4,a5=5,・・・

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【1】分割数の母関数

 このとき,母関数は

  f(x)=Σanx^n=Σx^(k1+2k2+3k3)=Σx^k1Σx^2k2Σx^3k3

 =1/(1−x)・1/(1−x^2)・1/(1−x^3)

となります.

  (1−x)(1−x^2)(1−x^3)Σanx^n=1

ですから,各項の係数を比較すると漸化式

  an=an-1+an-2−an-4−an-5+an-6

を得ることができます.

  a6=7,a7=8,a8=10,a9=12,a10=14,a11=16,・・・

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【2】母関数の部分分数展開

  f(x)=Σanx^n=Σx^(k1+2k2+3k3)=Σx^k1Σx^2k2Σx^3k3

 =1/(1−x)・1/(1−x^2)・1/(1−x^3)

の部分分数展開により,anを簡単に計算することができるが,それにより依りよい結果も得られます.(ωを1の原始3乗根とすると1+ω+ω^2=1)

(1−x)(1−x^2)(1−x^3)=(1−x)^3(1+x)(1−ωx)(1−ω^2x)

部分分数展開

f(x)=α1/(1−x)+α2/(1−x)^2+α3/(1−x)^3+β/(1+x)+γ/(1−ωx)+δ/(1−ω^2x)

α1=17/72,α2=1/4,α3=1/6,β=1/8,γ=δ=1/9

x=0で展開すれば

f(x)=Σ{17/72+(n+1)/4+(n+1)(n+2)/12+(−1)^n/8+(ω^n+ω^-n)/9}x^n

したがって,

an=(n^2+6n+9)/12−7/72+(−1)^n/8+(ω^n+ω^-n)/9

=(n+1)^2/12+λn

λn≦7/72+1/8+1/9<1/2

ゆえに,

an〜(n+3)^2/12

anは(n+3)^2/12に最も近い整数である.

 たとえば,n=4に対して,

a4〜49/12→an=4

  1+1+1+1,1+1+2,1+3,2+2

n=5に対して

a5〜64/12→an=5

  1+1+1+1+1,1+1+1+2,1+1+3,1+2+2,2+3

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