■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その5,杉岡幹生)

さて(その3)で、私は次のことを言いましたが、少し補足しておきます。

「 1/(1^6+a^2) + 1/(3^6+ a^2) + 1/(5^6+a^2) + 1/(7^6+a^2) + ・・

 現時点での私の見解では、この^6を明示的な形で出すことは無理なのではないか?と思っています。そこには「奇数ゼータ」が明示的に表現できないのと同じ困難が横たわっている気がするからです。ですから、その困難を迂回して^4 の次は^8をやっています。」

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なぜこのようなことを言ったかと言いますと、

1/(1^6+a^2) + 1/(3^6+ a^2) + 1/(5^6+a^2) + ・・ ---@

を求めようと思ったら、

1/(1^3+a^2) + 1/(3^3+ a^2) + 1/(5^3+a^2) + ・・ ---A

が先に求まっていないとできないのですが、Aは求まらないと思うからです。

「Aのaにi^0.5を代入して@を出す」という手順を踏むためにはどうしても先にAが必要となります。しかし、現代数学でAを明示的に求めるのは不可能な気がしています。奇数ゼータと同類の困難があると思うのです。このような理由から前述したわけです。それは、^5,^10などでも同様です。

 ですから、ゼータの香り式でも明示的に表現できるケースというのはごくわずか、ということになります。  (杉岡幹生)

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