■パラメータ解? (その63)

 (その60)に行列Pが出てくる舞台裏に隠されている数学的な本質(金鉱脈)については

  [参]細矢治夫「ピタゴラスの三角形とその数理」共立出版</P>

詳細な解説があります.

===================================

【1】バーニングとホールのピタゴラス三角形生成行列

 1970年に,アメリカのホールは

    [1,−2,2]     [ 1, 2,−2]

  U=[2,−1,2] U^-1 =[−2,−1, 2]

    [2,−2,3]     [−2,−2, 3]

    [1,2,2]     [ 1, 2,−2]

  A=[2,1,2] A^-1 =[ 2, 1,−2]

    [2,2,3]     [−2,−2, 3]

    [−1,2,2]     [−1,−2, 2]

  D=[−2,1,2] D^-1 =[ 2, 1,−2]

    [−2,2,3]     [−2,−2, 3]

という3つの3次正方行列U(up),A(across),D(down)を発見した.ホールとまったく同じことをオランダのバーニングが1963年に発見していたことが後に判明した.

  P=(3,4,5)’

にかけると

  UP=(5,12,13)’

  AP=(21,20,29)’

  DP=(15,8,17)’

はすべてピタゴラス三角形になる.さらに,この3つのベクトルにU,A,Dをかけると,あらたに9つのピタゴラス三角形になる.

 バーニングとホールはこの操作を無限に続けていくことによって,すべての既約ピタゴラス三角形をもれなくつくり,しかも既約ピタゴラス三角形以外はつくらない変換になっていることを証明したのである.

===================================

 行列の一部の要素の符号を変えただけで逆行列ができてしまうところが不思議である.また,

  |U|=|D|=1,|A|=−1

とAだけが違う結果になる.

<P ALIGN="JUSTIFY">

 さらにUとDについては

          [k^2, −2jk,  2jk]

  U^j/k=1/k^2[2jk,k^2−2j^2,2j^2]

          [2jk,−2j^2,  k^2+2j^2]

          [k^2−2j^2,2jk,2j^2]

  D^j/k=1/k^2[−2jk,  k^2, 2jk]

          [−2j^2,  2jk,k^2+2j^2]

===================================