■ある無限級数(その154)

 よく知られた結果

  1−1/2+1/3−1/4+・・・=log2

  log(1+x)=x−x^2/2+x^3/3−x^4/4+・・・

から得られる.

 xを−xで置き換えた級数

  log(1−x)=−x−x^2/2−x^3/3−x^4/4−・・・

を組み合わせると

  log(1+x)/(1+x)=2(x+x^3/3+x^5/5+x^7/7+・・・)が得られる.

 |x|<1でしか有効ではないが,このとき,(1+x)/(1+x)はすべての正価を取ることができる.

 たとえば,

  (1+x)/(1+x)=2 → x=1/3

したがって,

  log2=2(1/3+1/3・3^3+1/5・3^5+1/7・3^7+・・・)

が成り立つ.

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 この級数はlog2を計算するために有効であるが,それに対して

Σ1/k2^k=1/1・2+1/2・4+1/3・8+1/4・16+・・・

=log2

は2進法で表したlog2のある特定の桁(たとえば1000兆桁目)の数字を計算するのに使える公式である.

 BBP公式

 π=Σ(4/(8n+1)−2/(8n+4)−1/(8n+5)−1/(8n+6))(1/16)^n

は16進法で表したπのある特定の桁(たとえば1000兆桁目)の数字を計算するのに使える公式である.

 しかし,πの100万桁目の数字は7である(真偽は確かめていない)とはいってもそれに対する評価はまちまちである.ある人にとっては,ほとんど興味を引かない事実であろう.なぜこれに興味が湧かないかは,それが偶然のものでしかなく,その域を出ていないと感じるからであろう.

 しかし,πのある特定の桁の数字(1000兆桁目の数字は0),それよりも前の桁を求めずに計算できる.

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 それよりも前の桁を知らずに計算する方法は

  π^2,π^3,π^4,(log2)^2,(log2)^3,πlog2,π^2log2やカタラン定数G,ζ(3),ζ(5)などでも見つかっている.

  G=1/1^2−1/3^2+1/5^2−1/7^2+1/9^2−・・・=0.911・・・

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