■カフェで生まれた定理(その2)

 第1次世界大戦から第2次世界大戦までの時期,ポーランドのルヴフに住む数学者の一団が「スコティッシュ・カフェ」という喫茶店に集っていた.その主要メンバーはシュタインハウス,バナッハ,ウラムなどである.

 彼等は議論した問題をノートに書き留めた.やがて,その分厚いノートは「スコティッシュ・ブック」と呼ばれるようになった.たとえば,シュタインハウスはハムサンドイッチ定理を3次元に拡張できないかと考えて,それをノートに書き込む.それを読んだバナッハはそれが可能であることを証明したという具合である.

 また,シュタインはウスは3人によるケーキの公平な切り分け方についても考えた.2人なら一人が切り分けて,もう一人が好きなほうを選ぶ方法が使える.実は何人であっても使える方法があって,ケーキを少しずつ切り分けでいく.誰かがストップと叫んだら,その場所でナイフをいれ、その切れ端を叫んだ人がもらう.そして残った人で同じことを続けるのである.

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【1】シュタインハウス・ロングメーター

 地図上の閉曲線の面積を測る器具としてプラニメーターがある.同様に,地図上の曲線の長さを測る器具としてキルビメータがあるのだそうだ.私は前者を使用したことはあるが,後者を使ったことはない.

 当時,スコティッシュ・カフェに集まった数学者達は様々な問題をスコティッシュ・ブックと呼ばれるノートに書き,解決法を探っていた,そのなかでスタインハウスは曲線の長さを測ることができないかと考えた.

 面積であれば方眼紙を用意して正方形何個分に相当するかで近似できるだろう.曲線の長さであれば,メッシュとの交点数をカウントすることによって長さを知ることができるはずだ.

 いくつもの線が交錯したメッシュが「シュタインハウス・ロングメーター」である.3方向の方眼紙を重ねて印刷した透明なシートであるとのことだが,これについて解説したムービーがYouTubeに公開されているそうだ.

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