■フレームワークの幾何(その1)

【1】筋交い問題(bracing problem)と潰れない多面体

 三角形,四面体は外力によって変形しない.辺同士で連結した三角形網,面同士で結合した四面体複体も変形しない(頂点同士,辺同士では変形する).面同士で結合した四面体複体がトラス構造である.

 m×nの2次元正方グリッドのすべてのマス目に筋交いをいれれば三角形網ができるため変形しないが,変形しないための筋交い数はmnよりもずっと減らすことができる.

 最低でもm+n−1個の筋交いを最適配置に挿入しなければならない(最適配置判定は完全2部グラフKm,nによって簡単になされる).この問題はextraedgeを設けて構造を堅牢化する問題と言い換えることができるが,その意味では体積0の多面体の双対問題であると考えることができるのである.

 hard materialを使った場合の構築原理であるが,それに対して生物の場合は石けん膜のようなsoft materialを用いて細胞の構築原理を考えることになる.両者は対極にあって,その対比がわかると,生物無生物に関わらず形の研究に取り組みやすくなる.

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