■学会にて(形の科学会,その5)

【7】高次元空間充填を応用した3次元パズル

 数学の世界には,ごく稀ですが,4次元や高次元の世界をイメージできる人がいます.たとえば,ペトリーは子供の頃から数学に対する異常な能力を示し,4次元図形を直観的に見ることができたといわれています.

 しかしながら,3次元の世界を視覚化できるだけでも十分に希有な能力であって,数学者であっても2次元のイメージで何とかやっている人がほとんどです.

 私は数学者ではありませんが,たとえ数学者ならずとも数学の研究には,「具体的な例」が必要と思われます.数学を習得するのには忍耐と根気が要求されるからです.幾何学に王道なし,たとえ一国の王といえども努力しないで数学を習得するための近道はなく,自分の足で目的地へ到達しなくてはなりません.

 そのためにはじっくりと時間をかけて,たとえば,幼児が大好きなおもちゃで何時間も飽きることなく遊び続けるように,無邪気に数学と遊ぶこと,アタマだけでなく,目耳鼻手を働かせて真剣に遊ぶことが大切です.数学(の難しさ)を楽しむ心,遊び心による自由な発想によって良い結果を得ることができるでしょう.

 高次元空間充填を応用した3次元パズルはそのための「よい実例」になるかもしれません.

===================================