■学会にて(形の科学会,その3)

【5】137.5°の注連縄たち

 自然界には対称性や周期性をもたないものの,決定論的な規則性をもつ形が現れる.たとえば,葉序や花序はその例である.葉序とは茎からでる枝葉の規則性であり,下の枝葉に対して上の枝葉が茎の回りに137.5°回転した方向にでる現象で,137.5°は360°を黄金比に内分したものである.

 一方,ヒマワリの花にはフィボナッチ数列が現れることはよく知られている.対数らせんが5本,8本,・・・とフィボナッチ数列が現れるのである.花序では茎からで短い枝の先端に花がついた構造になっているのであるが,これが137.5°回転した方向にでるため,自然とフィボナッチ数列が現れるのである.

 すなわち,ヒマワリの花序と葉序は同じ現象ではあるが,葉序がz軸方向に並んだものであるのに対して,花序はxy平面上に並んだものという異なる側面をみていることになる.

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 正四面体をタワー上に積み重ねると,ねじれ角131.8°の空間らせんができる.私の課題はこの空間らせんの正四面体を変形させ,1種類の四面体だけで,ねじれ角137.5°の一様ならせんを実現させることである.

 GW前にすべての計算が完了し,3通りの解(137.5°の注連縄たち)を構成することができた.

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【6】注連縄とは何か?

 ところで,注連縄とは何か? なぜ,こんな形をしているものが神社に奉納されているのか? 聞いた話ではギザギザの紙が稲妻を,垂れ下がった細い藁が雨を,ねじれた太縄が雲を表しているのだそうだ.

 雷が落ちると放電現象によって空気中の窒素が分離され,雨とともに地中にはいる.そして窒素を肥料として作物が育つ・・・こうして五穀豊穣を祈って注連縄が奉納されているというわけである.

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