■オイラーの発見・メンデルの発見(その11)

 宇宙の形の関するパラドックスも掲げておきます.

 天文学者のケプラーはその著書「宇宙の神秘」において,幾何学の2つの至宝と称してピタゴラスの定理と黄金比φをあげています.ピタゴラスの定理からは立方体,正四面体,正八面体,黄金比からは正十二面体と正二十面体が作られると考えて,そのように述べているのです.

 プラトン以降,何人もの天文学者によって「宇宙は正12面体」であると考えられてきました.その理由は神秘主義的な思想によるもの,双曲幾何学に基づくものなどさまざまです.

 また,体積はどんどん小さくなるが,表面積は際限なく増え続けるフラクタルの特徴から,フラクタル幾何学の父と呼ばれるマンデルブロは,星々がフラクタル的に凸凹に配列されている宇宙モデルを提唱しました.もしそうならオルバースのパラドックスはビックバン理論なしでも解決できるからです.

 オルバースのパラドックス(1823年)とは,恒星が一様に配列されているならば,どの方向を見ても必ず恒星があるわけで,夜空は明るくなければならないのに,実際は暗いというものです.(最初にそのことに気づいたのはケプラーだった.)

 ユークリッド幾何学が宇宙の滑らかさを表しているのに対して,フラクタル幾何学は宇宙のデコボコをよく表しているといわれる所以です.

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