■ベキ和の公式の整除性(その27)

【1】ウォルステンホルムの定理(1862年)

(Q)p>3が素数ならば,既約分数

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)

の分子はp^2で割り切れることを証明せよ(1862年).

(A)1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)を通分すれば,分母は(p−1)!である.ウィルソンの定理より

  (p−1)!=−1  (mod p)

であるから分母はpで割り切れない.したがって,

  S=(p−1)!(1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1))

がp^2で割り切れることを証明すればよいことになる.

 Sは1,2,・・・p−1からp−2個とったあらゆる組合せの積の和である.そこで

  F=(x−1)(x−2)・・・(x−p+1)

   =x^p-1−A1x^p-2+・・・−Ap-2x+Ap-1

と書けば,根と係数の関係より

  Ap-1=(p−1)!

  Ap-2=(p−1)!(1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1))

 x=pとおけば

  (p−1)!=p^p-1−A1x^p-2+・・・−Ap-2p+Ap-1

  p^p-2−A1p^p-3+・・・+Ap-3p−Ap-2=0

 S=Ap-2であるから,ここでp|A1,p|A2,・・・,p|Ap-2がいえれば,p>3のときp^2|Ap-2.2項係数pCkを(p,k)と書くことにすると,

  p|(p,k)   (k:1~p-1)

であるから,A1〜Ap-1を2項係数で表すことができればp|A1,p|A2,・・・,p|Ap-2がいえたことになる.

  xF=x(x−1)(x−2)・・・(x−p+1)

    =x^p−A1x^p-1+・・・−Ap-2x^2+Ap-1x

xをx−1で置き換えれば

  (x−1)^p−A1(x−1)^p-1+・・・−Ap-2(x−1)^2+Ap-1(x−1)

 =(x−1)(x−2)・・・(x−p+1)(x−p)

 =(x−p)(x^p−A1x^p-1+・・・−Ap-2x^2+Ap-1)

 ここでx^kの係数を比べると

  A1=(p,2),

  2A2=(p,3)+(p-1,2)A1,

  3A3=(p,4)+(p-1,3)A1+(p-2,2)A2,

  (p−1)Ap-1=1+A1+A2+・・・+Ap-2

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