■n次元の立方体と直角三角錐

【1】n次元の立方体

 立方体は8頂点(±1,±1,±1)を結んでできる.3次元の立方体では8個の頂点をひとつおきにとると正四面体ができる.たとえば,その頂点は(1,1,1),(1,−1,−1),(−1,1,−1),(−1,−1,1)の合計4頂点である.

 ひとつの頂点からは(3,2)=3本のベクトルがでるが,(1,1,1)を中心として他の3頂点と結んだベクトルは(0,−2,−2),(−2,0,−2),(−2,−2,0)であり,互いに60°で交わる長さ2√2のベクトルとなる.

 正8胞体(4次元超立方体)は16頂点(±1,±1,±1,±1)を結んでできる.正8胞体の中心からひとつおきの頂点を結んだベクトルをとると,(1,1,1,1),(1,1,−1,−1),(1,−1,1,−1),(1,−1,−1,1),(−1,1,1,−1),(−1,1,−1,1),(−1,−1,1,1),(−1,−1,−1,−1)の合計8頂点が得られる.

 これらは4頂点(1,1,1,1),(1,1,−1,−1),(1,−1,1−,1),(1,−1,−1,1)と中心に対する対称な4頂点の合計8頂点であって,互いに直交する4本の軸上にあるから,正16胞体をなすことがわかる(4次元空間の特殊性).すなわち,3次元の立方体では8個の頂点をひとつおきにとると正四面体ができるが,4次元立方体では正16胞体(4次元の正八面体)ができることになる.ひとつの頂点からは(4,2)=6本のベクトルがでるが,互いに60°で交わる長さ2√2のベクトルとなる.

 3次元では正四面体,4次元では正16胞体になったが,5次元以上の空間では何になるのだろうか? 5次元正16房体は32頂点(±1,±1,±1,±1,±1)を結んでできる.5次元正16房体の中心からひとつおきの頂点を結んだベクトルをとると,(1,1,1,1,1),(1,1,1,−1,−1),(1,1,−1,1,−1),(1,1,−1,−1,1),(1,−1,1,1,−1),(1,−1,1,−1,1),(1,−1,−1,1,1),(−1,1,1,1,−1)(−1,1,1,−1,1)(−1,1,−1,1,1)(−1,−1,1,1,1),(1,−1,−1,−1,−1)(−1,1,−1,−1,−1),(−1,−1,1,−1,−1)(−1,−1,−1,1,−1),(−1,−1,−1,−1,1)の合計16頂点が得られる.

 (1,1,1,1,1)を中心として,他の頂点と結んだベクトルは(0,0,0,−2,−2),(0,0,−2,0,−2)などとなる.ひとつの頂点からは(5,2)=10本のベクトルがでるが,互いに60°で交わる長さ2√2のベクトルとなる.

 n次元空間の正多胞体(n≧5)は

        境界胞体    頂点   双対性  対応

(n+1)胞  n胞体     n+1  自己双対 正4面体・5胞体

2n胞体  (2n−2)胞体  2^n   2^n胞体 立方体・8胞体

2^n胞体    n胞体     2n 2n胞体 正8面体・16胞体

の3種類だけであるから,5次元以上の空間では正多面体にならず,1種の準正多面体になる.

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【2】n次元の直角三角錐

 任意のn次元では

  (n,0)+(n,2)+(n,4)+・・・

すなわち,nが奇数の場合は

  (n,0)+(n,2)+(n,4)+・・・+(n,n−1)

nが偶数の場合は

  (n,0)+(n,2)+(n,4)+・・・+(n,n)

で,いずれの場合も合計2^(n-1)頂点が得られることもおわかりいただけたであろう.

 そこで,n次元直角三角錐の各頂点の座標を

  (0,0,0,・・・,0)

  (2,0,0,・・・,0)

  (0,2,0,・・・,0)

  (0,0,2,・・・,0)

  (0,0,0,・・・,2)

とおく.この図形2^n個で1辺の長さ2√2の正2^n胞体ができる.また,この図形n!個の体積は1辺の長さ2の正2n胞体(体積:2^n)と等しくなる.正2n胞体からはこの図形を2^n-1個を取り除いくことができる.

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