■デーン不変量と二面角の幾何学(その20)

 (その19)では,4次元正120胞体が「万有正多面体」であることは証明されたものの,4次元正多胞体の包含関係(巡礼)が完結したわけではない.巡礼を完結させるためにはさらなる包含関係が必要になる.

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【1】正8胞体と正16胞体

 正8胞体(4次元超立方体)は16頂点(±1,±1,±1,±1)を結んでできる.正8胞体の双対では各胞の中心をとり,それらを頂点として結べば正16胞体になる.

  (±2,0,0,0),(0,±2,0,0),(0,0,±2,0),(0,0,0,±2)

 正24胞体の構成には他の方法もあり,正8胞体の中心からひとつおきの頂点を結んだベクトルをとると,4本のベクトル(1,1,1,1),(1,1,−1,−1),(1,−1,1−,1),(1,−1,−1,1)は互いに直交し,長さは2すなわちもとの正8胞体の1辺の長さに等しい.この4頂点と中心に対する4頂点の合計8頂点は互いに直交する4本の軸上にあるから,正16胞体をなすことになる.すなわち,3次元の立方体では8個の頂点をひとつおきにとると正四面体ができるが,4次元立方体では正16胞体(4次元の正八面体)ができる.

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【2】正24胞体

 正24胞体の頂点の座標は

  (±1,±1,±1,±1)・・・正8胞体の頂点

  (±2,0,0,0),(0,±2,0,0),(0,0,±2,0),(0,0,0,±2)・・・正16胞体の頂点

の24点である.3次元空間で立方体の8頂点(±1,±1,±1)と正八面体の6頂点(±2,0,0),(0,±2,0),(0,0,±2)を結ぶと菱形12面体ができるから,正24胞体は3次元の菱形12面体の4次元版と見ることができる.4次元ではその特殊性から本当に正多面体になるわけである.

 正24胞体の頂点をうまくとると正16胞体をなす.その代表的な軸は

  (1,1,1,1),(1,1,1,−1),(2,0,0,0)

で,これらは互いに60°をなすから,正24胞体の二面角は120°になることがわかる.さらに,正24胞体の24個の頂点は8個ずつ3組の正8胞体に分割される(複合正多面体).

 正24胞体の構成には他の方法もあり,(±1,±1,0,0)を置換した24点(±1,±1,0,0),(±1,0,±1,0),(±1,0,0,±1),(0,±1,±1,0),(0,±1,0,±1),(0,0,±1,±1)から作るものである(±1の個数は2つ).これは正8胞体の2次元面24個の中心をとったもの,またはその双対として正16胞体の24本の辺の中点をとったものである.たとえば(1,1,0,0),(1,−1,0,0),(0,0,−1,1),(0,0,1,1)を結ぶベクトルは互いに直交して長さがすべて等しくなる.

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【3】正600胞体

 正600胞体の頂点の座標は

  (±1,±1,±1,±1),(±2,0,0,0),(0,±2,0,0),(0,0,±2,0),(0,0,0,±2)の置換と(±τ,±1,±1/τ,0)の偶置換で与えられる.(±τ,±1,±1/τ,0)は正24胞体の頂点(±τ,±τ,0,0)を置換したものであるから,正600胞体の120個の頂点は24個ずつ5組の正24胞体に分割される(複合正多面体).

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 正600胞体の120個の頂点をうまくとると,正8,16,24胞体を作ることができることはわかったが,正5胞体の場合を考えてみる.4次元正単体の頂点の座標を

  (1,0,0,0)

  (0,1,0,0)

  (0,0,1,0)

  (0,0,0,1)

としよう.これらの頂点間距離は√2である.これらの座標が与えられたとき,残りの1点の座標は

  (x,x,x,x)

とすることができる.他の頂点との距離は√2であるから,

  (x−1)^2+3x^2=2

すなわち,

  4x^2−2x−1=0

を満たさなければならないことより,

  x={1−√5)}/4

が得られる.

 ここまでは(その19)と同じであるが,他の構成方法を採ってみよう.5個の頂点:

  V1(1,0,0,0)

  V2(0,1,0,0)

  V3(0,0,1,0)

  V4(0,0,0,1)

  V5(x,x,x,x)

の中心座標(体心)

  ((x+1)/5,・・・,(x+1)/5)

また,底面

  (1,0,0,0)

  (0,1,0,0)

  (0,0,1,0)

  (0,0,0,1)

の重心(面心)は

  (1/4,1/4,・・・,1/4)

それに隣接する面

  (x,x,x,x)

  (0,1,0,0)

  (0,0,1,0)

  (0,0,0,1)

の重心(面心)は

  (x/4,(x+1)/4,・・・,(x+1)/4)

であるから,中心座標(体心)

  ((x+1)/5,・・・,(x+1)/5)

を原点に移動させると,2つの連接する面心ベクトルは

  (1/4−(x+1)/5,1/4−(x+1)/5,1/4−(x+1)/5,1/4−(x+1)/5)

  (x/4−(x+1)/5,(x+1)/4−(x+1)/5,(x+1)/4−(x+1)/5,(x+1)/4−(x+1)/5)

これを伸縮すると,

  V1(−σ/2,1/2τ,1/2τ,1/2τ)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  V5(1,1,1,1)

となる.(その19)の双対が得られただけのことで,これでは正600胞体にうまく内接するかどうかはわからない.本質的に異なる構成方法が必要と思われるが,次回の宿題としたい.

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