■ジョンソン立体による空間充填

 一種類の合同な正多面体による空間充填では立方体だけが空間充填形なのですが,もし2種類以上を使ってよければ,正四面体と正八面体の二面角が互いに補角ですから,両者を組み合わせて空間充填が可能になります.正多面体同士の組合せでは,正四面体と正八面体を組み合わせたものだけが空間を充填します.

 2種類以上の多面体による空間充填例は正四面体と正八面体の組み合わせ以外にもたくさん知られています.たとえば,切頂四面体と正四面体の組み合わせ,切頂立方体と正八面体の組み合わせ,切頂八面体と大菱形立方八面体と立方体の組み合わせ,小菱形立方八面体と立方八面体と立方体の組み合わせ等々.

 プラトン立体とアルキメデス立体による空間充填を分類してみましょう.

[1]プラトン立体のみによるもの・・・立方体,正四面体+正八面体

[2]アルキメデス立体のみによるもの・・・切頂八面体,

[3]プラトン立体とアルキメデス立体の組み合わせによるもの・・・切頂四面体+正四面体,切頂立方体+正八面体,切頂八面体+大菱形立方八面体+立方体,小菱形立方八面体+立方八面体+立方体

[4]アルキメデス立体とアルキメデス角柱によるもの

[5]アルキメデス角柱のみによるもの

 今回のコラムでは,空間充填可能なジョンソン立体をいくつかピックアップしてみることにします.

[6]ジョンソン立体を含むもの

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 正八面体は2つの正四角錐(J1)にわけることができる.また,J1を立方体のひとつの面上に貼るとJ8,または二つの反対側の面上に貼るとJ15ができる.正三角錐を正三角柱のひとつの面上に貼るとJ7,または二つの反対側の面上に貼るとJ14ができる.したがって,J1+正四面体,J8+正四面体,J15+正四面体,J1+切頂立方体,J1+立方八面体,J7+正八面体などは空間充填可能となる.

 小菱形立方八面体の中央部分の八角柱を切り離し,上下の帽子(J4)を2つの異なるやり方で貼り合わせるとJ28,J29を作ることができる.ここで,小菱形立方八面体について一言.もし上の帽子を45°回転させると新しい図形J37を得ることができる.それは頂点(3,4,4,4)をもつ準正多面体(擬小菱形立方八面体,ミラーの多面体)であるが,1930年にやっと発見されている.あるいは,立方八面体を赤道部分で切り離し,上下の帽子(J3)をねじった形(J27)を得ることもできる.これより,J3+正八面体,J3+J1,J3+J4+立方体,J4+正四面体,J4+J1+正四面体なども空間充填可能となる.

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 ついでにいうと,正三角柱を切断して側面が正方形の2つの正三角柱を作り,正方形面に沿ってねじって貼り合わせるとジョンソン多面体J26を得ます.この多面体も単一空間充填多面体として知られています.

 以上の多面体はアルキメデス立体やアルキメデス角柱に分解されるのですが,面正則多面体に切り分けることのできないジョンソン立体による空間充填も紹介しておきます.つい最近,中川宏さんはジョンソン・ザルガラー多面体J91が加わった空間充填を発見しました.J91は4個の正五角形面,2個の正方形面,8個の正三角形面をもつ双月形双円形体として知られており,菱形12面体と同じ2回回転対称性をもっています.J91の正三角形面を合わせるように繋いでいくと,立方体と正十二面体の隙間が現れます.すなわち,J91・立方体・正十二面体の3種類の立体で空間充填することが可能であることがわかったのですが,これまで知られていなかった空間充填例が見つかったことは奇跡的といってもよいでしょう.

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