■面正則多面体の展開図とシェパードの定理(その4)

 ジョンソン立体に対するシェパードの問題では,非一様タイルを考える必要が生じます.非一様タイルを構成するには,たとえば(3,3,3,4,4)は正方形の帯と正三角形の帯の平行な帯,カゴメ格子(3,6,3,6)は正六角形と正三角形の組み合わせの帯からなっていますから,それらの帯の間に正方形の帯,正三角形の帯,正六角形と正三角形の組み合わせの帯などを挿入する作り方があります.

 (その3)では一般性を欠いた考察が見られましたが,今回のコラムでは正方形の帯をi本,正三角形の帯をj本,正六角形と正三角形の組み合わせの帯をk本挿入した非一様タイルにおける正三角形:正方形:正六角形比を求めてみることにします.

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【1】非一様タイル(三様タイル?)

[1]T型

 (正三角形:正方形:正六角形=4:2:0)→(4+4j+2k:2+2i:k)と変化します.この基本領域に一致するジョンソン立体としてはJ55,J56(ともにi=1,j=0,k=2)が必要条件を満たします.

[2]K型

 (正三角形:正方形:正六角形=2,0,1)→(2+4j+2k,2i,1+k)と変化します.この基本領域に一致するジョンソン立体としてはJ55,J56(ともにi=2,j=1,k=1)が必要条件を満たします.

[3]R型

 正十二角形を正三角形6個,正方形6個,正六角形1個で置き換えます.(4612)の基本領域は正方形:正六角形:正十二角形=3:2:1ですから(正三角形:正方形:正六角形=0,3,2)→(6,9,3)と変化します.また,(312^2)の基本領域は正三角形:正十二角形=2:1ですから(正三角形:正方形:正六角形=2,0,1)→(8,4,2)と変化します.後者からはJ55,J56が必要条件を満たします.

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【2】まとめ

 正六角形を含むジョンソン立体がタイル貼り不可能であることを主張するためにはJ55,J56が本当にタイル貼り不可能であることを証明しなければなりません.

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