■n角の穴をあけるドリル(その51)

 あらためてコラムを読み返してみると,

  コラム「デルトイドの平行曲線(その2),(その3)」

  コラム「n角の穴をあけるドリル(その36)、(その38)」

において,接線極座標から曲線の次数を導き出す過程に誤りがあった.(その50)ではそのことをお知らせしたのであるが,その誤りにかなり長い間気づかないでいたことになる.

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【1】n尖点ハイポサイクロイドの面積

 その話にはいる前にパラメータ表示型の曲線について注意を喚起しておきたいことがあります.

 n個の尖点をもつハイポサイクロイドは,パラメータθを用いて

  x=(n−1)rcosθ+rcos(n−1)θ

  y=(n−1)rsinθ−rsin(n−1)θ

と記述されます.θで微分すると

  x’=−(n−1)rsinθ−(n−1)rsin(n−1)θ

  y’=(n−1)rcosθ−(n−1)rcos(n−1)θ

 ここで注意しなければならないことは,θは極座標(r,θ)のパラメータではないことです.そのため,

  S=1/2∫r^2dθ   r^2=x^2+y^2

として計算すると

  S=(n^2−2n+2)・πr^2

となって正しい値が得られません.

 計算方法はいくつか考えられるのですが,

  S=∫ydx=∫yx’dθ

として計算するのが最も簡単なようです.その結果,ハイポサイクロイドの面積は

  S=(n−1)(n−2)・πr^2

で表されることが計算されます.定円の半径をR(=nr)とした場合は,

  S=(n−1)(n−2)/n^2・πR^2

となります.

 デルトイドの場合はn=3,R=3rですから

  S=2πr^2

となって回転円の面積の2倍に等しくなります.また,n→∞のとき

  S→πR^2

となって定円の面積に近づきます.

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【2】接線極座標

 卵形線上に原点をとり,曲線上の点P(x0,y0)における接線とx軸とのなす角度をθとすると,

接線方向の単位ベクトル  : e1=(cosθ,sinθ)

それと直交する単位ベクトル: e2=(−sinθ,cosθ)

となります.

 また,接線の方程式は

  y−y0=tanθ(x−x0)

  (x−x0)sinθ−(y−y0)cosθ=0

  xsinθ−ycosθ=x0sinθ−y0cosθ=p(θ)

と表されます.このとき,右辺はベクトルPOと法線ベクトルの内積ですから,原点から接線までの距離は|p(θ)|で与えられます.

 同様に,法線の方程式は

  xcosθ+ysinθ=x0cos+y0sinθ=p’(θ)

原点から法線までの距離は|p’(θ)|で与えられます.

 連立方程式

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

  xcosθ+ysinθ=p’(θ)

を解くと

  x=p(θ)sinθ+p’(θ)cosθ

  y=−p(θ)cosθ+p’(θ)sinθ

が得られますが,これにより曲線(x,y)は(p,θ)でパラメトライズされることがわかります.

 また,曲線の長さをs,曲率半径をρとすると

  ds^2=dx^2+dy^2=(p+p”)dθ^2

より,

  ρ=ds/dθ=p(θ)+p”(θ)

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【3】フルヴィッツ・藤原曲線

 正n角形の枠を(n−2)公転について1回自転させたときの包絡線の方程式は

  x=(n−1)acos(n−1)θ・cosθ+(asin(n−1)θ−R)・sinθ

  y=−(n−1)acos(n−1)θ・sinθ+(asin(n−1)θ−R)・cosθ

で表されます.

 包絡線の方程式

  x=(n−1)acos(n−1)θ・cosθ+(asin(n−1)θ−R)・sinθ

  y=(n−1)acos(n−1)θ・sinθ−(asin(n−1)θ−R)・cosθ

において

  dx/dθ={−((n−1)^2+1)asin(n−1)θ−R}cosθ

  dy/dθ={−((n−1)^2+1)asin(n−1)θ−R}sinθ

  dy/dx=tanθ

より,θは接線極座標のパラメータであり,包絡線の方程式を

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

に代入すると,包絡線の接線極座標における方程式は

  p(θ)=asin(n−1)θ−R

で与えられます.

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【4】デルトイドの平行曲線

 デルトイドの平行曲線の方程式

  x=2acosθ(1+cosθ)−a+rsin(θ/2)

  y=−2asinθ(1−cosθ)−rcos(θ/2)

において,θは接線極座標のパラメータになっているでしょうか?

  dx/dθ=−2asinθ−2asin2θ+r/2cos(θ/2)

  dy/dθ=−2acosθ+2acos2θ+r/2sin(θ/2)したがって

  dy/dx=tanθ

とはならず,デルトイドの平行曲線の方程式を

  x=2acosθ(1+cosθ)−a+rsin(θ/2)

  y=−2asinθ(1−cosθ)−rcos(θ/2)

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

に代入することはできないのです.

 一般に,ハイポサイクロイド

  ξ=a((n−1)cosθ+cos(n−1)θ)

  η=a((n−1)sinθ−sin(n−1)θ)

において,

  dε/dθ=−(n−1)a(sinθ+sin(n−1)θ)

  dη/dθ=(n−1)a(cosθ−cos(n−1)θ)

  (dε/dθ)^2+(dη/dθ)^2=(n−1)^2a^2(2−2cosnθ)=2(n−1)^2a^2(1−cosnθ)

ですから,平行曲線は

  x=a((n−1)cosθ+cos(n−1)+b(cosθ−cos(n−1)θ)/(1−cosnθ)^1/2

  y=a((n−1)sinθ−sin(n−1)θ)+b(sinθ+sin(n−1)θ)/(1−cosnθ)^1/2

のようになりますが,同様に

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

に代入することはできません.

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【5】ペリトロコイド曲線

 公転に対する自転の向きによって,ペリトロコイド曲線は

  x=Rcosθ+acos(n−1)θ

  y=−Rsinθ−asin(n−1)θ

または

  x=Rcos(−θ)+acos(n−1)θ

  y=−Rsin(−θ)−asin(n−1)θ

で表されます.

  x=Rcosθ+acos(n−1)θ

  y=−Rsinθ−asin(n−1)θ

の場合だけ示しますが,

  dx/dθ=−Rsinθ−(n−1)asin(n−1)θ

  dy/dθ=−rcosθ+(n−1)acos(n−1)θ

ですから

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

に代入することはできません.

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【6】楕円の平行曲線

 同様に,楕円の平行曲線の方程式

  x=acosθ+cbcosθ/(a^2sin^2θ+b^2cos^2θ)^(1/2)

  y=−bsinθ−casinθ/(a^2sin^2θ+b^2cos^2θ)^(1/2)

  xsinθ−ycosθ=p(θ)

に代入することはできません.

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