■デルタ充填とジョンソン・ザルガラー充填(その6)

 (その4)では正八面体と正二十面体を集めたこの3角形面のみによるスポンジ型無限多面体のポリドロン模型を作った.その際,駒が足りず部分模型しか作ることができなかったが,今回のコラムでは正三角形のユニットを買い足して,αの形について検討することにした.

 「ポリドロン」は東京書籍がその取り扱い店となっている.

  連絡先:tel:03-5390-7513,fax:03-5390-7409(大山茂樹)

また,「ポリドロン」による多面体の構成では

  佐藤一麦(中学1年生)

  佐藤千種(幼稚園)

の協力を得た.

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【1】αの形

 増築したとはいっても部分模型には変わりはないが,αの形はかなりとらえやすくなった.正八面体と正二十面体の隙間を埋める多面体は三角形32枚と四角形2枚よりなる提灯あるいは鼓に似た凹多面体3^324^2となる.

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【2】αの体積の近似計算

 この凹多面体は立方体1,四角錐4,四角反柱2に分解可能である.頂点の座標を計算すれば,正三角形面あるいは正方形面からのずれを検証することができると思うが,ここでは(座標を求めずに)この多面体の体積を近似計算してみることにする.

[1]正四角錐

 1辺の長さが1の正方形の外接円の半径をaとすると

  asinπ/4=1/2 → a=1/√2

また,正四角錐の高さをhとすると,h^2+a^2=1であるから,

  h^2=1−a^2=1/2 → h=1/√2

  v=h/3=1/3√2

[2]四角反柱

 反角柱の高さは

  H^2=1^2−(2asinπ/8)^2=1/√2 → H=(1/√2)^1/2

 反角柱の高さHt(0≦t≦1)での断面積を計算する.切り口は八角形になるが,その辺の長さはc=t,d=1−tで周長は常に一定であることがわかる.それぞれの辺と中心軸との距離は

  c’=(a−1/2)(1−t)+1/2,d’=(a−1/2)t+1/2

であるから,断面積は

  s=4/2(cc’+dd’)=4{(a−1/2)t(1−t)+1/4}

 体積は

  v=H∫(0,1)sdt=H(2a+2)/3

   =(1/√2)^1/2(2+√2)/3

で与えられる.

[3]立方体+四角錐+四角反柱

  v=1+2√2/3+(1/√2)^1/2(4+2√2)/3=3.85681

 この値は(その4)で求めた値

  v=(153+56√2+67√5+72√10)/162=3.76356

とほぼ一致している.少し食い違っている点については次回の宿題としたい.

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