■デルタ充填とジョンソン・ザルガラー充填(その5)

 1辺の長さaの正20面体を20個の四面体に分割すると,四面体は1辺の長さaの正三角形1枚と,底辺の長さaと長さbの2辺からなる二等辺三角形3枚で作られている.

  b=a/2{(5−√5)/10}^1/2

   =a{(5+√5)/2)^1/2/2

   =a(1+τ^2)^1/2/2≒0.951057a

 正三角形a^32枚と二等辺三角形ab^26枚で作られた8面体を黄金八面体と呼ぶことにするが,黄金八面体も正八面体同様,正20面体をつなぐことができる多面体である.このとき,正20面体を結ぶ方向は3回対称軸[1,1,1]に対応する.

 (その4)では,正八面体と正二十面体とαによる空間充填の諸計量を求めたが,今回コラムでは黄金八面体による正20面体の連結の場合の諸計量を計算することにする.

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【1】黄金八面体の正三角形面間距離

 1辺の長さが1の正三角形の外接円の半径をrとすると

  rsinπ/3=1/2 → r=1/√3

また,反角柱の高さは

  H^2=b^2−(2rsinπ/6)^2=b^2−1/3

 b=aならばH=√2/√3となって,正八面体の面間距離に一致する.

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【2】黄金八面体の体積

 反角柱の高さHt(0≦t≦1)での断面積を計算する.切り口は六角形になるが,その辺の長さはc=t,d=1−tで周長は常に一定であることがわかる.それぞれの辺と中心軸との距離は

  c’=r/2(1−t)+r/2,d’=r/2t+r/2

であるから,断面積は

  s=3/2(cc’+dd’)=3r/2{t(1−t)+1/2}

 体積は

  v=H∫(0,1)sdt=rH=H/√3=√3H/3

で与えられる.これは同じ高さの角柱の体積√3H/4の4/3倍である.

 b=aならばv=√2/3となって,正八面体の体積に一致する.

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【3】α’の体積

 黄金八面体の正三角形面間距離は,

  b=(1+τ^2)^1/2/2≒0.951057

とおいて,

  H={(1+τ^2)/4−1/3}^1/2=(3+√5)/4√3

ですから,立方格子の1辺の長さは

  (3+√5)/3+2H/√3=(3+√5)/2=τ^2

 黄金八面体の体積は

  H/√3

したがって,α’3個分の体積は

  3V=(3+√5)^3/2^3−(15+5√5)/6−8H/√3

    =(3+√5)^3/8−(15+5√5)/6−(6+2√5)/3

    =(9+5√5)/2

となります.

     体積

α’  a^3(9+5√5)/6

 したがって,空間充填における3種類の立体(α’・黄金八面体・正二十面体)の体積比は

  (9+5√5)/2:(6+2√5)/3:(15+5√5)/6

こののように,正八面体よりも黄金八面体のほうが簡単な値になることがわかります.

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