■デルタ充填とジョンソン・ザルガラー充填(その4)

 (その1)ではN91・立方体・正十二面体の3種類の立体で空間充填することが可能であることを紹介した.すべての面が正多角形面の空間充填は知られているもの以外は無理といわれ,まったく信じてもらえなかったが,そのような空間充填形は実在するのである.

 また,(その3)では正20面体の間に正八面体を挟んでできる紙模型を紹介したが,これは3種類あるコクセター・ペトリー立体の変種となる無限多面体と考えることができる.

 ところで,N91・立方体・正十二面体の3種類の立体による空間充填の双対に相当するのが,α・正八面体・正二十面体による空間充填である.今回のコラムでは,正八面体と正二十面体を集めたこの3角形面のみによるスポンジ型無限多面体の隙間を埋める正多角形体αの体積を求めてみることにする.

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【1】構成比

 正8面体で正20面体をつなぐことができる.このとき,正20面体を結ぶ方向は3回対称軸[1,1,1]に対応する.ポリドロンによる部分模型を掲げる.

 3種類の立体の配置は,正20面体を立方格子の体心においた場合,8つの頂点に正20面体,体心と頂点をつなぐ位置に正八面体,6つの面心あるいは12の辺心にαである.このことからα・正八面体・正二十面体の構成比は3:8:2となることがわかる.

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【2】体積比

 各正多面体の1辺の長さをaとして,正多面体の体積を記すと

        体積

正四面体    a^3√2/12

正六面体    a^3

正八面体    a^3√2/3

正12面体   a^3(15+7√5)/4

正20面体   a^3(15+5√5)/12

 正20面体の場合,もとの立方体の1辺の長さを2,もとの立方体表面に残る1本の稜の長さを2d(0≦d≦1)とすると,

  d=(√5−1)/2,a=2d=√5−1

  V20=a^3(15+5√5)/12

また,正八面体の体積はV8=a^3√2/3となります.

 1辺の長さが1のとき正20面体の面間距離は

   (3+√5)/2√3

正8面体の面間距離は

   √2/√3

であるから,立方格子の1辺の長さは

   (3+√5+2√2)/3

 したがって,α3個分の体積は

  3V=(3+√5+2√2)^3/3^3−2V20−8V8

    =(153+56√2+67√5+72√10)/54

となります.

     体積

α   a^3(153+56√2+67√5+72√10)/162

 したがって,空間充填における3種類の立体(α・正八面体・正二十面体)の体積比は

  (153+56√2+67√5+72√10)/54:(8√2)/3::(15+5√5)/6

になることがわかります.

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