もっとも稠密な円配置・球配置の反対の問題として,最も疎な円配置・球配置を求める問題を考えてみよう.
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【1】安定した最も疎な円配置
同じ大きさの円を互いに他の3つずつと接し,円の中心が正六角形をなすように平面上に配置する.つぎに,各円を接点を保ったまま互いに接する小さい3つの同じ大きさの円に置き換える.こうして得られる小さい円による円配置は各円が隣り合う3つの円に挟まれているという意味で安定している.
平面全体で小さい円の占める割合は
d=(7√3−12)π=0.393
で,安定した円配置の中で最も疎な円配置と思われている.
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【2】安定した最も疎な球配置
同じ大きさの球を互いに他の4つずつと接し,球の中心が正四面体の4つの頂点をなすように空間内に配置する.つぎに,各球を接点を保ったまま互いに接する小さい4つの同じ大きさの球に置き換える.こうして得られる小さい球による球配置は各球が隣り合う4つの球に挟まれているという意味で安定している.
安定した球配置ではどの球も4つの球と接しているから,それらの球の中心は正四面体の4つの頂点をなすことが推測される.しかし,正四面体状配置は決して最も疎な配置でなく,4つの球と接したままちょっと変形することによってはるかに疎な配置が得られる.菱形12面体格子の頂点に正四面体状配置がくるように変形させるのである(ヘーシュ,ラーベス).
このようにして得られた球配置の密度dは,1辺の長さ2の正四面体の重心と頂点との距離は(3/2)^1/2となることから,
R=((3/2)^1/2+1)r
d/D=4・4/3・πr^3/4/3・πR^3=4r^3/R^3
d=4/((3/2)^1/2+1)^3D=0.3633D
また,正四面体状球配置の密度Dは
D=√3/16・π=0.340
であるから,
d=0.123
を得る.したがって,正四面体状球配置の密度Dよりもはるかに疎となる.
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