■デルタ充填とジョンソン・ザルガラー充填(その3)

 正三角形のみによる凸多面体がデルタ多面体である.デルタ多面体による空間充填では正四面体と正八面体の組み合わせがよく知られている.また,N91・立方体・正十二面体の3種類の立体で空間充填することが可能である.そうなると,正多面体で残ったのは正二十面体だけである.

 正二十面体は5回回転対称性をもつ正多面体であるが,花形20面体のへこみには菱形30面体がすっぽりおさまるように,正二十面体をおさめるへこみをもつ凹デルタ多面体はないのだろうか? この答えがあるとすれは,デルタ充填が可能ということになるが,(その1)でいろいろ試した結果,どの組み合わせもうまくいかないことがわかっている.

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 中川宏さんが正20面体を立方格子の体心において調べてくれたのだが,立方格子の頂点を中心として8個の正20面体と接する凹図形を境界面で切断すると正三角形でない面ができてしまう.

 結局,この図形はマッカイ結晶(あるいはねじれ正多面体)のように天地東西南北方向に無限に繋がった壁面がすべて正三角形でできた通路ということになる.

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 次に中川さんが検討したのは正20面体の間に正八面体を挟んでできるテトラポッド構造である.

 オクトポッド構造を同じように作れば,テトラポッド構造とオクトポッド構造を使って隙間を残しながら周期的に正20面体を配置することができることになる.

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