■2次元結晶群(その9)

【3】有限単純群の分類(4)

 代数群などの分野からは発見され得ないし,古典群,交代群のように無限系列にはいっていないという意味で,散在型単純群と呼ばれる単純群が26個ある.一番小さいのが,11個の文字の上の置換群であるマシュー群M11(位数:7920),一番大きいものが,モンスター(位数:2^46・3^20・5^9・7^6・11^2・13^3・17・19・23・29・21・41・47・59・71)で,モンスターの位数はなんと54桁にものぼる.

 26個の散在型単純群の歴史は,実に100年にわたっている.マシュー群と呼ばれている5種類の単純群M11,M12,M22,M23,M24が発見されたのは1860〜61年である.マシュー群の発見以後,100年あまりの空白期を経て,ヤンコが1965年6番目の散在型単純群J1(位数:175560)を発見する.

 これを皮切りに,それから10年という短い間に有限単純群の残りの20個,鈴木群(イリノイ大学),原田群(オハイオ大学),コンウェイ群,フィッシャーのベビーモンスター群,モンスター群,・・・が次々と発見されてしまった.

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