■正多角面体の木工製作(その4)

 正多角形体や一様多面体をすべて分類することは単なる理論上の興味にとどまらず,数学の他分野とも面白い関連がある.正多角形面体はザルガラー多面体あるいはジョンソン多面体という別名でも呼ばれていて,正多面体(プラトン体),準正多面体(アルキメデス体),角柱,反角柱を除くと92種類存在する.デルタ多面体やミラーの多面体も正多角形面体に含まれる.

 今回のコラムでは異相双5角台塔(N31),三側錘欠損正20面体(N63)の木工製作について述べてみたい.

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【1】異相双5角台塔(N31)

 コラム「黄金比22面体の木工製作」において,正五角形2枚と黄金比長方形10枚,黄金比三角形10枚からなる22面体を紹介したことがありますが,ここでは正五角形2枚と正方形10枚,正三角形10枚からなる正多角面体を木工製作します.

 この22面体の二面角には96.9774°,134.519°と152.614°の3通りあります.また,正五角形の1辺の長さを1とした場合の正五角形面間距離は1.70012と計算されます.

 両者を比較すると

     黄金比22面体      N3122面体

二面角 121.717, 148.283 96.9774, 134.519, 152.614

厚さ 2.25277 1.70012

 ここでは,一体型でなく組み合わせ型で作る方ことにする.帽子のような5角台塔の部分を72°ねじらせながら組み合わせるとN31になる.

[1]5角台塔(N5)

[2]同相双5角台塔(N30)

[3]異相双5角台塔(N31)

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【2】三側錘欠損正20面体(N63=M7)

 正二十面体から平たい五角錘を3つ切り取った3カ所欠損の正20面体である.すなわち,正二十面体の破片体であるが,これも分解不可能な多面体のひとつである.

 (その2)(その3)で紹介した分解不可能多面体は外接球はもたないが,この多面体では外接球にすべての頂点がのっている.新たにできる正五角形面と平行な面があれば簡単に作れるが,平行な面はない.そこで,正二十面体の切頂で3面を切り落とすことにする.

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【3】雑感

 残りは難しいので,これにてジョンソン・ザルガラー多面体の木工製作は打ち止めである.このシリーズの最大の成果は,N91・立方体・正十二面体の3種類の立体による空間充填である.

 平面では正五角形の配列による隙間を菱形や星形で埋め尽くすことができるが,それに相当する空間版が正十二面体同士の隙間をN91と立方体で充填することだと考えられるのである.

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