■正多角面体の木工製作(その2)

 92種類もあるザルガラー多面体を整理するには,分解可能性という考え方を取り入れると便利です.分類不可能なザルガラー多面体は,角柱,反角柱を除くと28種類存在することが知られています(M1〜M28).正多面体,準正多面体や分解可能なザルガラー多面体はこれら28種類から合成することができます.

 今回のコラムでは分解不可能なザルガラー多面体(基本多面体)のなかからN91とN92を取り上げますが,基本多面体のなかでもN91とN92は正三角形と正方形以外の面をもつ2つの特別な存在となっています.

===================================

【1】双三日月双丸塔(N91=M8)

 14個の頂点と8枚の正三角形,2枚の正方形,4枚の正五角形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.

 20・12面体の中緯度地方を切って高緯度地方を貼り合わせたものと見ることができる.そのため,すべての頂点座標は黄金比φ(あるいはτ)でパラメトライズすることができる.作り方は易しく,1×1×φの直方体を切稜するだけであり,正三角形面は正二十面体用の切稜定規,正五角形面は正十二面体用の切稜定規を使用する.

 重月形重回転体として知られており,菱形12面体と同じ2回回転対称性をもっている.これはこれでなかなか趣きのある多面体である.また,N91の正三角形面を合わせるように繋いでいくと,立方体と正十二面体の隙間が現れる.すなわち,N91・立方体・正十二面体の3種類の立体で空間充填することが可能である.

===================================

【2】3角広底球形屋根丸塔(N92=M20)

 18個の頂点と13枚の正三角形,3枚の正方形,3枚の正五角形および1枚の正六角形からなる分解不可能なザルガラー多面体である.

 92種類中の92番目であるが,正3〜正6角形すべてをもつ唯一の立体という点から見ると,ひとつだけ仲間外れと考えることができる.自然界には正3〜正6角形は至る所に見られるので,それらすべてを含む正多角面体はたったひとつしかないという事実は興味深いことであろう.

 この多面体も20・12面体と密接な関係があり,正五角形面とその間にある正三角形面は20・12面体の一部をなしている.そして,正六角形面は20・12面体の2等分面となり,全体として3回回転対称性をもつ多面体となっている.

===================================