■日曜日が3年(その3)

 私が数学を始めたのは35才のときだった.以来,平日・休日に関係なく,年中無休で愚直に数学に時間を費やしてきた.日曜日だけでも3年が経ったことになる.そして私は高次元幾何学を専門として研究するようになった.

 高次元空間は直観が効かないからであろうが,高次元幾何学では,21世紀にいるわれわれが往時の文献の誤りを見つけたり,修正したりすることが問われる(とくにコクセターの論文).

 つまり,その批判から始めなければならないのであるが,重要なことはわれわれがどれだけ賢いかを考えてほくそえむことではない.むしろある分野の先駆者でさえもつまづき得るということを理解するすることが重要である.

 往時のあるまとまった考えが,今日のわれわれが考えているほど単純ではなく,それらがまだ新しかったころの概念構成にどう取り組んだかを今日的な視点でよく考えることである.

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