■通信,暗号,そして多面体(その4)

 最も有名で広く使われている公開鍵暗号はRSAである.その基本は2つの素数p,qの積n=pqである.nは公開されるが,p,qは利用者となる個人専用の秘密である.

 nは暗号化に用いられるので,利用者は誰でも暗号化されたメッセージを銀行に送ることができる.しかし,それを複号化するにはp,qを知らなければ困難である.その理由はp,qは100桁以上の素数なので,nを素因数分解するのがほぼ不可能だからである.

 しかし,問題はいつの日にか,RSAは破られることである.1977年当時使われていた129桁のn(RSA129)を素因数分解するのに,4京年必要であると見積もられていたのであるが,ハードウェアと素因数分解の方法の進歩により1986年には破られてしまった.

 1996年にはさらに大きなRSA130も破られてしまった.RSA暗号系はいまや安全とはいえないのである.

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