■連分数の測度論(その40)

【1】ヒンチンの定理

 anの幾何平均値を求めてみます.1935年,ヒンチンは一般の連分数

  [a0:a1,a2,a3,・・・,an,・・・]

の大多数についてあてはまる法則を発見しています.

 ヒンチンの定理とは,幾何平均(a1a2・・・an)^1/nの値がn→∞のとき,ある無限乗積から定まる定数

  (a1a2・・・an)^1/n→Π(1+1/k(k+2))^logk/log2=2.685452001・・・

に収束するというものです.κ=2.68545・・・はヒンチンの定数として知られています.

 また,ヒンチンは

  a1+a2+・・・+an〜nlog2n

を証明しました.算術平均は発散するのに対し幾何平均は収束するというわけですが,ほとんどすべての連分数の場合,調和平均も収束し,その極限値は

  n/(1/a1+1/a2+・・・+1/an)→1.74540568・・・

===================================

 有理数に対しては挙動が異なり,すべての部分商の和は,実際には

  π^2/24(ln2)^2{Tn+1/2−18(ln2)^2/π^2}+6/π^2Σ(4r/p^r−(p+1)(p^r−1)/p^2r(p−1)0(lnp)^2

  Tn=(12ln2)^2/π^2{ln2−ΣΛ(s)/d+ε}

であるという.

===================================