■完全無欠の擬似素数(その3)

 フェルマーの小定理の逆は成り立たない.たとえば,

   2^340=1   (mod 341)

であるが,341は素数ではない.

  341=11・31

は合成数である.

 1から10^9までの間には,5000万個以上の素数があるが,底2に関する擬素数は5597個しかない.

 次に,底3を使えば,

   3^340=56   (mod 341)

これは341が合成数である証拠である.

 1から10^9までの間には,底2および3に関する擬素数は1272個とかなり減少する.さらに,底2,3,5に関する擬素数は685個しかない.

 大きな数nが,2とn−2の間の底に関して,擬素数であるかどうかを調べることは大変な作業であろう.

 1912年,カーマイケルは,561が完全擬総数であることを示した.b=2からb=559まで

  b^561=b   (mod 561)

が成り立つことを確かめたのである.

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  561=3・11・17

 b^561−bが561で割り切れることを示すためには,3,11,17で割り切れることを示さなければならない.

  b^561=b  (mod 3)

  b^561=b  (mod 11)

  b^561=b  (mod 17)

 ここでは,

  b^561=b  (mod 17)

を示したい.

 17がbを割り切らないとき,フェルマーの小定理より,

  b^16=1  (mod 17)

 561=35・16+1より,

  b^561=(b^16)^35b=b  (mod 17)

となる.

 同様に

  561=280・2+1

  561=56・10+1

より,

  b^561=b  (mod 3)

  b^561=b  (mod 11)

も示すことができる.

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