■ダイヤモンド結晶とK4結晶(その9)

 今回のコラムではK4結晶の仲間たちを紹介する.K4結晶では格子のすべての頂点の次数は3であり,ここで紹介するのはいずれもsp2混成(120°)で繋がった炭素原子のみから構成される次数3の3次元格子である.

  A. F. Wells, Acta Crysrallogr, 7, 535 (1954)

  The Geometrical Basis of Crtstal Chemistry, Part I

によると,このような3次元ネットは5種類(Net 1,2,5,6,7)あり,

  Net 1   10員環

  Net 2   10員環

  Net 5   8員環+12員環

  Net 6   8員環+14員環

  Net 7   6員環+10員環+12員環+14員環

から構成されている.以下,中川宏さんによる木工結晶模型を供覧したい.

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【1】Net 1(K4結晶)

 K4結晶(空間群I4132:No. 214)では10員環からなる網の目がみられる.このつなぎ方は中川宏さんがすでに見つけている切稜立方体(=切頂菱形12面体)の積み木模型とそっくり同じものである.しかし,それよりずっと前にウェルズがその論文中で存在を指摘していたというわけである.

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【2】Net 2

 Net 1と同じ10員環からなるが,趣きはまったく異なっている.

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【3】Net 5

 8員環+12員環構造が見てとれるだろうか.

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【4】Net 6

 14員環の接合はこれまでの中川さんの積み木の接合には見られなかったものである.

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【5】Net 7

 Net 2の環の接合を外して,あいだに6員環を橋渡した形になっている.

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【6】まとめ

 これらの中で4軸構造はNet 1(K4)だけである.また,Net 1, 2, 5, 6とここには掲げていないNet 21は等方的であるが,強等方的なのはNet 1だけである.六角格子(グラフェン),ダイヤモンド,K4は強等方性をもつという意味で数学的な親戚関係にあり,それ以外に強等方性をもつものないことが証明されている.

 4面体状球配置(ダイヤモンド格子)の空間充填率は√3π/16=0.3401で最密充填の√2π/6=0.7405よりも小さいが,きわめて硬い結晶を構成する.Net 1(K4)の空間充填率は0.185である.これが実際に合成されたならばどのような特性をもつ物質になるのだろうか?

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