■乙部融朗の針金模型と通信理論(その4)

 特殊な多面体クラスについては,ミンコフスキーが原始的平行多面体として取り上げた2(2^n−1)胞体などがあるが,私の知る限り,

  石井源久「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに関する研究」

  Motonaga Ishii: On a Generel Method to Calculate Vertices of N-Dimensional Product-Regulat Polytopes, Forma 14,.221-237,1999

が具体的で本格的な図形研究の最初のものであろう.

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 (その3)に戻るが,石井源久さんによって描かれた高次元準正多面体のCGをひとつみてほしい.われわれ3次元人は所詮高次元図形を見ることはできないけれど,ソリッドモデルはリアリティーの高い図形を供給してくれるので,見る人のイマジネーションをかき立て,多くのインスピレーションを生み出すことができる.つまり,ソリッドモデルは高次元図形の世界の風景を一変させてくれるのである.

 私は「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに対する研究」を3−4年ほど前にご本人から謹呈して頂いたのであるが,その考察はすばらしいの一言につきる.このような立派な研究が行われていたことをまったく知らなかったこと,忘れ去られた(あやうく忘れ去られるところであった)論文があったことを恥じ入るばかりであった.

 この論文は現在の多面体論の発展の基礎になっており,いまなお学ぶに値することを強調しておきたい.

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