■誕生日のパラドックス(その14)

 答えはわかったが,U嬢に計算方法を説明しなければならない.この方が難しいかもしれない.

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 n人をkチームに分ける(U嬢からの問題ではk=365).このとき,すべてのチームに少なくとも一人は属するように分けることにする.

 n人をkチームに分ける場合の数はk^n通りあり,このうち,チームにだれも属さない場合の数を除けばよい.

 ベン図を描けばわかりやすいが,それは包除原理より,

  kC1(k−1)^n−kC2(k−2)^n+・・・+(−1)^k-2kCk-11^n

これを後ろから足し合わせると

  Σ(1,k-1)(−1)^k-j-1kCk^jj^n=Σ(1,k-1)(−1)^k-j-1kCk^jj^n

 k^nからこれを引くと

  k^n−Σ(1,k-1)(−1)^k-j-1kCk^jj^n=Σ(1,k)(−1)^k-jkCjj^n

 したがって,求める確率は

  pn,k=Σ(1,k)(−1)^k-jkCjj^n/k^n

  pn,k=Σ(1,k)(−1)^k-jkCj(j/k)^n

で計算されることになる.

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 2円または3円が交わったベン図を描いたことがあるだろう.2円の場合,共通部分がひとつできるが,3円の場合は2円の共通部分が3つ,3円の共通部分がひとつできる.

 中学・高校で4円以上が取り扱われることはまずないが,n円となっても原理は同じである.それは,共通部分に含まれるものを引いて,引き過ぎた分を足し直してということを繰り返す包除原理である.

 第2種スターリング数(nS3の場合)の具体例を掲げておく.

[1]A,B,Cへの割り付け全体  3^n

[2]Aを除いてB,Cに割り付ける  2^n

[3]Bを除いてA,Cに割り付ける  2^n

[4]Cを除いてA,Bに割り付ける  2^n

[5]Aだけに割り付ける  1

[6]Bだけに割り付ける  1

[7]Cだけに割り付ける  1

  (3^n−3・2^n+3)/3!=3^n-1/2−2^n-1+1/2

 包除原理を用いると,一般項は

  nSk=1/k!Σ(−1)^k-jkCjj^n

となることがわかります.

  nS2=2^n-1−1

  nS3=3^n-1/2−2^n-1+1/2

  nS4=4^n-1/6−3^n-1/2+2^n-2−1/6

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