■直観幾何学研究会(その18)

【1】体積0の多面体

[Q]多面体の表面を切ったり伸縮したりせずに,折り目によって面の形を変形しながら連続的に平坦化せよ.

 紙パックのジュースを飲み終わったあと,側面を中央に押し込めば平坦化できる.反角柱の軸をずらしながら重ねた構造(PCCP)のチューハイ缶もそのような例のひとつである.

 これは多面体にextravertexとextraedgeを設ける問題と言い換えることができる.多面体にextravertex, extraedgeを設けて,そこをmountain, valley foldして多面体を折りたたむ問題は実用的な価値が高く,多くの人の研究テーマになっていた.その起源になっているのはドメイン,オルークの本であるから,多くの数学者の目に触れた結果であろう.

 この問題は所与のn点を連結する最短経路をつくるシュタイナー問題と関係があるのであって,より本質的なのはextraedgeではなく,extravertexである.

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【2】潰れない多面体

 三角形,四面体は外力によって変形しない.辺同士で連結した三角形網,面同士で結合した四面体複体も変形しない(頂点同士,辺同士では変形する).面同士で結合した四面体複体がトラス構造である.

 m×nの2次元正方グリッドのすべてのマス目に筋交いをいれれば三角形網ができるため変形しないが,変形しないための筋交い数はmnよりもずっと減らすことができる.

 最低でもm+n−1個の筋交いを最適配置に挿入しなければならない(最適配置判定は完全2部グラフKm,nによって簡単になされる).この問題はextraedgeを設けて構造を堅牢化する問題と言い換えることができるが,その意味では体積0の多面体の双対問題であると考えることができるのである.

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