■奇数ゼータと杉岡の公式(その33)

 離散コーシー分布

  f(x)=C・1/(1+n^2)   (−∞<n<∞)

について考えてみますが,

  Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)

 =π(1+exp(−2π))/(1−exp(−2π))

 =π/tanh(π)

より,

  C=tanh(π)/π

となります.すなわち,連続コーシー分布の1/πがtanh(π)/πに変わった形をしているというわけです.

  Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)

  Σ(-∞,∞)1/(n+α)^2=π^2/(sin(πa))^2

  α=1/2→ Σ(-∞,∞)1/(n+1/2)^2=π^2=6ζ(2)

はパーセバルの等式の応用として得られる公式で,とくに

  Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)

  Σ(-∞,∞)(−1)^n/(1+n^2)=π/sinh(π)

  Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)^2=π/2(exp(4π)+4πexp(2π)−1)/(exp(2π)−1)^2

は,

  Σ(1,∞)1/n^2=π^2/6=ζ(2)

  Σ(1,∞)1/n^4=π^4/90=ζ(4)

のようにゼータ関数の値を直接表すものではありませんが,同様の世界に属していて,ζの香りが漂っているように思われるとコメントされています.

 [参]加藤和也・黒川信重・斉藤毅「数論T,Fermatの夢と類体論」岩波書店

 この結果をさらに一般化すると

  Σ(-∞,∞)1/((α/2π)^2+n^2)=π(2π/α)/tanh(α/2)

  α=2π→Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)

  α=π→ Σ(-∞,∞)1/(1/4+n^2)=2π/tanh(π/2)

を得ることができます.これらは双曲正接関数との変換式になっているというわけです.

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【1】これまでのおさらいから

  http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page175.htm

において,杉岡幹生氏は一般に

  Σ(1,∞)1/n^k(1+n^2)

はkが偶数のとき明示的に求められるが,奇数のときは関数を閉じた形に表せないだろうと述べている.

 また,

  Σ(1,∞)1/n^k(1+n^2)

の変数nを奇数だけにすると

  Σ(1,∞)1/(2n−1)^k(1+(2n−1)^2)は

となるが,

  http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page183.htm

では

  Σ(1,∞)1/(2n−1)^k(1+(2n−1)^2)

はkが偶数のとき明示的に求められるが,奇数のときは関数を閉じた形に表せないだろうと述べている.すなわち,ζの奇偶性に対応することを主張しているのである.

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【2】その後の進展

 杉岡氏は,その後

  Σ(1,∞)(-1)^(n-1)(2n−1)/(1+(2n−1)^2)=π/2・sinh(π/2)/sinh(π)

  Σ(1,∞)(-1)^(n-1)/(1+(3n)^2)=1/2−π/3・{exp(π)+exp(π/3)+exa(5π/3)}/{exp(2π)−1}

など,多数の不思議な公式を導出しています.その導出法については

  http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page197.htm

  http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page198.htm

  http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page199.htm

などをご覧ください.

 既存の公式からは導出しにくい公式と思われたので,分厚い公式集

  Gradshteryn, Ryzhik "Table of integrals, series and products", Academic press

  新数学公式集,丸善

などを調べてみたのですが,ここにに掲げたような公式を探し出すことはできませんでした.解析家・杉岡の面目躍如といったところです.

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