■ウィア・フェラン泡(その72)

 n個の頂点をもつ三角形面多面体では,3f=2eですから,

  (v,e,f)=(n,3n−6,2n−4)

すなわち,球面上にn個の点を配置した場合,2n−4はn個の頂点をもつ三角形面正多面体の面数となります.

 一方,n個の面をもつ3稜頂点多面体では,3v=2eであり,

  (v,e,f)=(2n−4,3n−6,n)

となります.これらは互いにもとの多面体と面と頂点の関係が逆向きの正多面体であり,表と裏の関係にある双対多面体となっています.

  ωn=n/(n−2)・π/6   n≧3

を導入すると,球面上に大きさの等しい球帽を埋め込むときの充填密度はωnを用いて,

  d≦n/2(1−1/2cosecωn)

球面が等大球帽で被覆されるときの被覆密度は

  D≧n/2(1−1/√3cotωn)

なる不等式を満たすことが求められます.

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 3次元凸集合に対し,表面積をS,体積をVとすると,

  S^3≧36πV^2

が成り立ちます.等号成立は球のときだけで,すべての立体中で球が表面積に対して最大の体積をもっています.

 多面体の等周問題は,単位球に外接する多面体では,

  V=S/3

となることから,

  S^3/V^2=9S=27V

が成り立ちます.したがって,与えられた面数nをもつ多面体に関する等周問題は,最小の体積または最小の表面積をもち,球に外接するn面体を定めるという問題に帰着されます.

 等周比の点からいえば,5種の正多面体では正4面体が最も球に遠く,正20面体が最も球に近いことになります.それでは,f個の面をもつ多面体の中で等周比の最小値を与えるものはなんでしょうか?

 答えはf=4,6,12ではプラトンの正多面体,すなわち,正四面体,立方体,正十二面体が最小値をとります.しかし,f=8で等周比の最小値をあたえるものは正八面体ではありません(アルキメデスの反プリズム).f=20は未解決のまま残っています.

 三次元の問題はなかなか一筋縄ではいきませんが,凸n面体の表面積をS,体積をVとすれば,等周不等式は,

  S^3/V^2≧54(n−2)tan(ωn)(4sin^2(ωn)−1)

ただし,等号は3稜頂点多面体に対してのみ成り立つことに注意して下さい.これによって,3稜頂点多面体に対しては,正多面体(正4面体,立方体,正12面体)が同じ面数の多面体の中でも最良となることが証明されるのです.

 一方,3角形多面体に関しては

  S^3/V^2≧54(n−2)(3tan^2(ωn)−1)

また,これらを包括する一般的な不等式として

  S^3/V^2≧9esin(2π/p~)(tan^2(π/p~)tan^2(π/q~)−1)であることが予想されています.

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