■幾何学的不等式への招待(その5)

  m≦6−12/f<m+1

とおいて,どの面もm角形またはm+1角形からなる多面体をメディアル多面体と呼びます.6−12/fが多面体の平均辺数になっているからです.

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【1】メディアル多面体

f    f3     f4    f5    f6

4    4

5    2     3

6          6

7          5    2

8          4    4

9          3    6

10          2    8

11          1   10

12              12

13              12    1

14              12    2

15              12    3

 f≧12のとき,メディアル多面体の構成は5^126^(f-12)になります.f=11のときf4=1,f5=10,f=13のときf5=12,f6=1となるのですが,f=11,13のときメディアル多面体は存在しません.

 また,4≦f≦15(f≠11,13)のとき,メディアル多面体はちょうどひとつあります.とくにf=4,6,12に対し,メディアル多面体は正四面体,立方体,正12面体になっています.f≧16のとき,メディアル多面体は少なくとも2種類あります.

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【2】オイラーの多面体定理の応用

 凸多面体の頂点,辺,面の数をそれぞれv,e,fとすると,

  v−e+f=2  (オイラーの多面体定理)

が成り立ちます.これは3次元立体について,0次元の特性数であるv,1次元の特性数であるe,2次元の特性数であるfの関係を述べたものと解釈されます.元の立体の頂点の数vと面の数fを互いに入れ替えた立体を双対多面体といいますが,この式は頂点と面に関しての双対性も表現しているのです.

 さらに,各々の面の辺数を

  p1,・・・,pf(≧3)

頂点に結合する辺数を

  q1,・・・,qv(≧3)

で表すと,明らかに

  3f≦p1+・・・+pf=2e

  3v≦q1+・・・+qv=2e

ここで,オイラーの多面体定理より,3f+3v=3e+6ですから,

  e+6≦3f≦2e

  e+6≦3v≦2e

 したがって,面が何角形になるかを求めてみると,これはもちろん1通りではありませんが,1本の辺は2個の面によって共有されることを考慮し,各頂点に平均してp~角形がq~面会するとすると,

  p~f=2e,q~v=2e   (握手定理)

より,その平均辺数p~と平均会合面数q~については

  p~=2e/f≦6−12/f<6

  q~=2e/v≦6−12/v<6

という不等式が導かれます.

 各面の辺数の平均は<6なのですが,2次元以上ですべての頂点の次数が6以上となることは不可能であり,必ず次数が5以下の頂点をもつことが導き出されます.

 つぎに,3次元立体では必ず頂点に結合する辺の個数が3の頂点か3角形の面をもつことを示します.

 n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,

 i)Σnfn=Σnvn

 ii)Σf2n+1は偶数

 iii)v3+f3>0

を順に示していきます.

 (答)各辺は2個の頂点をもつから,Σnvn=2E

    また,各辺では2枚の面が交わるからΣnfn=2E

 (答)i)より,Σ(2n+1)f2n+1=(偶数)

    したがって,Σf2n+1も偶数

 (答)E=Σen,V=Σvn,F=Σfn,Σnfn=Σnvn=2E

    もしv3=0,f3=0ならば,

    2E=4v4+5v5+・・・≧4V 同様に,2E≧4F

    これより,V−E+F≦E/2+E/2−E=0

    これはオイラーの多面体定理:V−E+F=2に矛盾するから,

    v3,f3のうち,少なくとも1つは0でない.

 もっとよい評価を与えると

  f3+f4+・・・=f,3f3+4f4+・・・=2e

  v3+v4+・・・=v,3v3+4v4+・・・=2e

したがって,

  f3−f5−2f6−・・・=4f−2e

  v3−v5−2v6−・・・=4v−2e

 オイラーの多面体定理より,4f+4v=4e+8ですから,これらを加えると,

  f3+v3=8+(f5+v5)+2(f6+v6)+・・・≧8

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【3】f≠11

  3f<4+5・10=54=2e

  3v<2e

より,e=27,v<18

 したがって,

  v−e+f<18−27+11=2

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【4】f≠13

  3f<5・12+6=66=2e

  3v<2e

より,e=33,v<22

 したがって,

  v−e+f<22−33+13=2

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【5】双対問題

  v−e+f=2  (オイラーの多面体定理)

は頂点と面に関しての双対性を表現しています.これより,

  e+6≦3f≦2e

  e+6≦3v≦2e

  p~=2e/f≦6−12/f<6

  q~=2e/v≦6−12/v<6

という不等式が導かれますが,これらもすべて頂点と面に関する双対性の表現になっています.

 そこで,

  m≦6−12/v<m+1

とおいて,次数mまたはm+1をもつ頂点からなる多面体の配置の問題も考えられます.

 この問題は前問の双対ですから,前問同様,v=11,13の多面体は存在しないのですが,たとえば,球面上の最密円配置の問題は最疎円被覆問題に,3稜頂点多面体(正4面体,立方体,正12面体)の果たす役割は3角形多面体(正4面体,正8面体,正20面体)に変わってきます.

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