■高次元結晶と通信理論(その21)

 ところで,3種類ある平面充填形は,空間充填形の退化したものと見なされます.実際,空間充填形である立方体の断面には,正三角形,正方形,正六角形が現れることから,そのことを理解することができます.それと同様にして,空間への凸多面体の分割は4次元胞体の退化したものと見なされます.菱形12面体は4次元超立方体(あるいは正24胞体)の3次元空間への投影,切頂8面体は6次元超立方体の投影として得られます.

 ここで,空間を体積が等しい凸多面体で,平均表面積ができるだけ小さくなるように分割せよという問題が生じます.この問題はかなり長い間,菱形12面体による空間分割が解だと考えられていたのですが,これに対して,体積1のときの表面積を求めると,菱形12面体型分割では

  3√108√2=5.345・・・

切頂8面体型分割では

  3/43√4(1+√12)=5.314・・・

と後者の方が約0.5%少なくなることが,1887年,ケルビン卿によって発見されています.→コラム「ビールの泡と多面体」参照

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