■ウィア・フェラン泡(その53)

 外接球(内接球)を持つ多面体をその状態をキープしたまま変形していき,同心の内接球(外接球)を同時にもつようにする.たとえば,朝鮮サイコロはその例である.

[Q]等周係数は球に近いかどうかを調べる指標であるから,このような多面体は

>等周係数は最小になるだろうか? (朝鮮サイコロの場合は,最小になる).

[A]頂点数が増えると漸近的に球に近づくのは正しいが、頂点数を固定したとき,上のような直感は通用しません.

 Toth の論文にもあるようにLindelof-Minkowski の結果から面数を固定した場合には最小多面体には外接球が存在します.一方,頂点数を固定した場合にはこのような結果はなく,従って(何も理由がないので)おそらく外接球も内接球もありません.実際に頂点数 5 の場合の最小多面体で内接球も外接球もない事が確かめられています.頂点数 8 の場合の極小多面体も内接球も外接球もありませんが,微小変形をすると S/V^(2/3) が大きくなります.。極小を示したということは上のような変形はできない事を示したということになります.

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[Q]三角12面体が外接球と内接球を同時にもてば(極小ではなく)最小の可能性が高くなるのだろうか?

[A]前述したとおり,この主張は根拠がないように思えます.この場合の最小性の証明は,力ずくでやるなら可能な組み合わせ複体の全てで最小値をもとめてその中で最小であることを示すことになりますが,場合の数が大きいので難しいようです.

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