■等脚台形とペンローズの凧

【1】円石藻と等脚台形

 まず,正五角形の円石(coccolith,炭酸カルシウム)が正12面体のcoccosphereを形成する円石藻の写真を掲げる.

 正五角形を同じ形のピースで5分割する方法は無数にあるが,円石藻の正五角形は二等辺三角形でも凧型でもなく,等脚台形で分割されているように見えないだろうか.

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 正五角形の中心と頂点を結べば二等辺三角形(頂角72°,底角54°),正五角形の中心から各辺に垂線を下ろせば凧型(頂角72°,108°,90°,90°)ができる.

 もう一つの意外な方法は,正五角形の中心から各辺に平行な直線を引けば,左右対称な等脚台形(頂角72°,72°,108°,108°)ができる.さらに下底の長さを等脚に等しく1にとれば,上底の長さは2−φとなる.

 この等脚台形は5枚で正五角形ができるが,+15枚して20枚で一回り大きな正五角形,+25枚して45枚で二回り大きい正五角形を作ることができる.+35枚して80枚で・・・

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【2】ペンローズの凧と矢

 また,この等脚台形を2枚重ねると,重なった部分はペンローズの凧になる.ペンローズの凧と矢の2つのタイルは,その内角が

  凧:72°,72°,72°,144°

  矢:36°,36°,72°,216°

で,特定のルールを守ってでピースをつないでいけば,非周期的に平面充填する.このルールに則らなけれ,周期的にタイル貼りできる.

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[まとめ]

 特定のルールを守ってピースを繋いでいけば非周期的に平面をタイル貼りすることができる(もし拘束がなければ周期的にタイル貼りすることができることに注意).凧と矢は矢の方が多くて黄金比に近づいていく.両者の面積比も黄金比である.

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