■4n+1型素数(その14)

 Q(√−d)の部分集合Z(√−d)は

  Z(√−d)={a+b√−d|a,bは整数}

で定義される.Z(√−d)は複素平面内で幅1×高さ√dの直交格子を形成する.

 したがって,Z(√−d)整数の体系内で,除法

  α=β・γ+δ,|δ|<|β|

は可能かというユークリッド整域の問題がある.

 β^-1αに最も近いZ(√−d)整数γが1未満にあるためには,

  d=1のとき,√2/2<1(ユークリッド整域)ガウス整数環

  d=2のとき,√3/2<1(ユークリッド整域)

  d≧3のときユークリッド整域でないことが幾何学的に証明されたことになります.

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 Z(√−3)はユークリッド整域ではないが,Z((−1+√−d)/2)はどうだろうか? 

 これは複素平面内で斜交格子を形成する.その菱形の4頂点は(0,√−d,(1+√−d)/2,(−1+√−d)/2)

 β^-1αに最も近いZ(√−d)整数γが1未満にあるためには,

  d=3のとき,(ユークリッド整域)アイゼンシュタイン整数環(正三角形格子)

  d=7のとき,(ユークリッド整域)

  d=11のとき,(ユークリッド整域)

 d=19,43,67,163のとき,ユークリッド整域ではないが,単項イデアル整域である.

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