■クラインの整数(その25)

 3次元空間における任意の軸のまわりの回転は,次式で表される.

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【1】回転行列

 単位ベクトル

  n↑=(α,β,γ)   α,β,γは方向余弦で,α^2+β^2+γ^2=1を満たすものとする.

 それを回転軸とし,その周りに正の回転方向にθだけ回転する回転行列

  R(1,1)=α^2(1-cosθ)+cosθ

  R(2,2)=β^2(1-cosθ)+cosθ

  R(3,3)=γ^2(1-cosθ)+cosθ

  R(1,2)=αβ(1-cosθ)+γsinθ

  R(2,1)=αβ(1-cosθ)-γsinθ

  R(1,3)=αγ(1-cosθ)-βsinθ

  R(3,1)=αγ(1-cosθ)+βsinθ

  R(2,3)=βγ(1-cosθ)+αsinθ

  R(3,2)=βγ(1-cosθ)-αsinθ

で与えられる.

 θ→−θとした公式もある.その場合,cosθ→cosθ,sinθ→−sinθとなる.

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 n↑=(−1,0,0)とすると

  R(1,1)=(1-cosθ)+cosθ=1

  R(2,2)=cosθ

  R(3,3)=cosθ

  R(2,3)=-sinθ

  R(3,2)=sinθ

=[1,0,0]

 [0,c,−s]

 [0,s,c]

となり,z軸を中心とする回転を表す式と一致する.

 3次元空間の図形なら,この行列による1回の変換だけでどの方向にも向けることができる.すなわち,3次元正規直交行列のうち軸を反転しないものはすべてこの形に書き表すことができるのである.

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