■クラインの整数(その23)

 平面の回転を表す

  cosθ+1sinθ

と同じ役割をする四元数を考える.

 回転軸

  λi+μj+νk

はOの回りに角θだけ回転する場合,空間の回転は四元数

  cos(θ/2)+(λi+μj+νk)sin(θ/2)

によって表される.

 空間の回転を表す四元数表示である.一見したところ,θ/2は間違いのように見えるかもしれないが,そうではない.以下の例で示そう.

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 実部をw,虚部をvとし,

   q1=w1+x1i+y1j+z1k=(w1,v1)

   q2=w2+x2i+y2j+z2k=(w2,v2)

と表すことにすると,

  q1+q2=(w1+w2,v1+v2)

  q1・q2=(w1w2−(v1・v2),w1v2+w2v1+(v1×v2))

と表せる.

 ここで,3次元空間内の任意の点を位置ベクトルpで表し,軸nの周りにθだけ回転したベクトルをRpとし,Rpをp,n,θを用いて表そう.

  nに直交するベクトル:q=p−(p・n)n

  nとpの外積:r=n×q=n×p

とすると

  Rp =cosθq+sinθr+(n・p)n

    =cosθp+(1−cosθ)(n・p)n+sinθ(n×p)

がわかる.

 次に,単位四元数q=(w,v)=(cosη,sinηn)を用いた変換

  Rp(h)=q・h・q~

を考える.q~=(w,−v)

 pを四元数の虚部とみなすと,

  Rp(p)=q・p・q~=(w,v)・(0,p)・(w,−v)

 =(0,(w^2−|v|^2)p+2(p・v)v+2w(v×p))

 =cos2ηp+(1−cos2η)(n・p)n+sin2η(n×p)

 したがって,θ=2ηとおけば,軸n周りのθ回転は単位四元数

  q=(cosθ/2,sinθ/2n)

で簡単に表せることがわかる.

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