■デューラーの八面体の設計(その3)

 菱形六面体の菱形面の対角線の長さを2dと2,頂角をθとする.デューラーの八面体に関する榎本説とは,θ=72°というものである.

 72°というのはdの値が解析的に求められる特別の角であって,正五角形(黄金比)と関係していることは説明するまでもないだろう.

  d^2=(5+2√5)/5

 ここで面白いことがわかる.θ=72°のときのtは

  t=2(d^2−1)/(d^2+1)=(√5−1)/2=1/τ

  τ=(√5+1)/2

と表される.すなわち,頂角72°の菱形六面体を黄金比切頂すると,球に内接するのである.

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 イメージミッション社の前畑謙次さんは,おもちゃショーの関係でニュルンベルグのデューラーハウスをよく訪問するのだそうである.ひょんなことからミュージアムグッズとして、デューラー多面体を作ることになった.

 クリスタルガラスの中にレーザーで図を加工するものであるが,図はガラスの表面から2ミリ〜5ミリのところまで加工できるそうだ.

 どうせ作るなら,内接関係,すなわち,内側に刻まれる多面体ですが・・・頂点を切る前の平行六面体が、外側の多面体の切頂した切断面の真ん中に接するようになっているといいと思い,座標計算を行ってみた.

 ガラスの表面から2ミリ〜5ミリのところまで加工するためには,

  s=1−2t/3

より,小さいsを用いる必要がある.

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