■アダマールの問題(その1)

【問】同じ大きさの正4面体2個を重ねた場合,その外側と内側にはどのような立体ができるでしょうか?

(答)この問題はダビデの星の3次元版です.頭の中でイメージできれば答は簡単なのですが,勘の働きにくい問題でもあります.

 上から見ても,前から見ても,横から見ても,同じ6角形に見える3次元図形を想像されたのではないでしょうか? ところが正解は,同じ大きさの正4面体2個による相貫体にはケプラーの8角星という名前がつけられていて,外側に立方体(正方形6面),内側に正8面体(正3角形8面)をもっています.

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 n次元超立方体の頂点をうまく結んで正軸体・正単体を作ることはできる場合があります.正軸体は中心を通るn本の互いに直交する直線上に等間隔に点をとった合計2n点で作られます.したがって,座標(±1,±1,・・・,±1)(n次元ベクトル)の中からうまくn個の互いに直交する組が選べれば正軸体ができます.

 これはアダマール行列を作るのと同一で,nが4の倍数であることが必要条件になります.逆にnが4の倍数のとき,アダマール行列ができるか?は有名な未解決問題です(たぶんそうだろうと考えられ,かなり多くのnについて正しいことがわかっています).

 だから,nが4の倍数である場合にはうまく頂点を選んで正軸体ができる場合があります(n=4はもちろんだが,n=8など).

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