■オイラー・カタラン・フェルマー(その2)

 ベルギーの数学者カタランは,カタラン数やカタランの立体(準正多面体の双対)でその名を知られています.1844年,カタランは方程式:

  x^p−y^q=1

の整数解が(x,y,p,q)=(3,2,2,3)だけである,すなわち,8と9だけが唯一連続するベキ乗数であるということであると予想しました.  3^2−2^3=1

ですが,それに証明を与えることはできませんでした.

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【1】カタラン予想の攻略

 ベルゲンは1320年頃,

  3^p−2^q=1

ならば(p,q)=(2,3)であることを証明しました.

 1734年,オイラーは,

  x^2−y^3=1

ならば(x,y)=(3,2)であることを示しました.

 p=2,q=3(オイラー,1738年),q=2(ルベーグ,1850年),p=3,q=3(ナゲル,1921年),p=4(セルバーグ,1932年),p=2(チャオ・コウ,1967年)などの研究があり,たとえば,x^p−y^2=1は正の整数解をもたないというのがルベーグの定理です.

 1976年,テイデマンはベーカーの先駆的仕事をもとにして,カタランの方程式にはたとえ解があるにしても有限個の解しかなく,その場合(p,q)は10^110より小さくなければならないことを証明しました.1999年,ミニョットは上限を10^16,下限を10^7の範囲まで大きく減らしました.

 オイラー以後,カタラン予想の一般的な証明は多くの数学者たちの挑戦を退けてきたのですが,2002年,ミハイレスクがすべてを解決しました.ミハイレスクは(p,q)がヴィーフェリッヒ対でなければならないこと,そして,クンマーがフェルマー予想の証明の試みの中での発展させた「円分体の理論」を利用して,158年間進展の見られなかったこの問題の最後の穴をふさぐことができたのです.

[補]ヴィーフェリッヒ素数

 フェルマーの小定理より(2^(p-1)−1)/pは整数となるが,非常に稀にこの整数がpの倍数になることがある.そのとき,pをヴィーフェリッヒ素数という.ヴィーフェリッヒ素数はp=1093,3511が知られている.

 なお,(3^(p-1)−1)/pが整数となるpとしてp=11,1006003が知られている.

[補]ヴィーフェリッヒの定理

 フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,pはヴィーフェリッヒ素数であることが必要である.

  (2^(p-1)−1)/p=0   (mod p)・・・Wieferich判定基準

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