■エンゲルの空間充填38面体(その7)

 (その6)で作成したエンゲルの空間充填38面体の概形を少し変形させると,真ん中の隙間や外側の窪みも消失して,ますます空間充填18面体に近づいてくる.

 このことから空間充填38面体が空間充填18面体の6等分と関係していることはほぼ確かといえよう.18面体を3等分し,そのあとの2等分はプロペラのようにひねって切るのであるが,今回のコラムではひねり角を計算してみることにしたい.

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【1】考察(その1)

 そのためにはまず,38面体のx=y=z軸がどこにあるのかを探さなければならない.(その1)では頂点数70の空間充填38面体(26^122^116^112^16^45^44^143^12)において,(0.217,0.1468,0.015)を38面体の中心として計算したが,頂点の空間座標を(0,0,0)を中心とするものに改めると

1 .283005 .879516 -.0157894

2 .0637208 .875864 -.473788

3 .053875 .870852 -.489505

4 .0397334 .859287 -.507711

5 .033 .8532 -.5158

6 .0262668 .845112 -.521887

7 .0121255 .826906 -.533452

8 2.27909E-03 .811188 -.538464

9 -.217005 .35319 -.542116

10 -.429074 -.0927318 -.542657

11 -.44137 -.143839 -.517435

12 -.442 -.1468 -.5158

13 -.445606 -.169334 -.500858

14 -.445787 -.170692 -.49988

15 -.446132 -.174277 -.497023

16 -.447088 -.221255 -.452056

17 -.447088 -.31854 -.354772

18 .0330002 .1032 .2342

19 .513088 .692172 .65594

20 .513088 .789456 .558656

21 .512132 .834423 .511677

22 .511787 .837278 .508094

23 .511606 .83826 .506731

24 .508 .8532 .4842

25 .50737 .854836 .481237

26 .495075 .880056 .430132

27 .502279 .875864 .442188

28 .511577 .868169 .461607

29 .511606 .86814 .461669

30 .522394 .8532 .484199

31 .526267 .847113 .492289

32 .533 .831047 .506353

33 .552912 .778749 .54794

34 .555276 .771447 .552877

35 .60677 .6032 .660429

36 .62913 .52494 .70713

37 .283 .1032 -.0158

38 -.0631301 .52494 -.73873

39 -.0407708 .603199 -.69203

40 .0107249 .771449 -.584476

41 .0130885 .778749 -.57954

42 .0329994 .831046 -.537953

43 .0397334 .847113 -.523889

44 .0436064 .8532 -.5158

45 .0543941 .86814 -.493268

46 .0544233 .868169 -.493207

47 .0542192 .86909 -.491949

48 .0121325 .825742 -.53456

49 -.148323 .434953 -.743525

50 -.198223 .380677 -.744932

51 -.199348 .379495 -.744925

52 -.194336 .395211 -.735079

53 -.190144 .407268 -.727875

54 -.0981103 .603191 -.634698

55 -4.92559E-03 .799132 -.542657

56 -.217 .353201 -.739161

57 -.335894 .103199 -.634694

58 -.44036 -.146799 -.515801

59 -.441371 -.14976 -.514165

60 -.445577 -.169395 -.500829

61 -.215365 .35616 -.740171

62 -.202031 .375792 -.744377

63 -.20108 .377091 -.744587

64 -.43993 -.31854 -.36193

65 -.444725 -.228554 -.447122

66 .621972 .52494 .714288

67 .533 .6032 .7342

68 .552912 .681459 .645229

69 .512125 .835548 .510495

70 .56007 .68146 .63807

 x=y=z軸に近接する頂点を探すと,最も近接しているのが頂点35,次いで頂点17,19,36,64,66,68,70のグループ,その次が頂点16,18,20,33,34,37,65,67のグループである.

 また,x=y=z軸に直交するx+y+z=0平面に近接する頂点を探すと,最も近接しているグループが頂点39,40,54,次いで頂点8,38,41,55のグループ,その次が頂点4,5,6,7,18,37,42,43,44,48のグループである.

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【2】考察(その2)

 これでx=y=z軸とx+y+z=0平面の大まかな位置がわかり,冒頭に掲げた中川宏さんの紙模型の正しさが確かめられた.

 ひねり角のキーとなるのは平面1と平面18の二面角である.この二面角を計算してみると60.3652°となった.このことから(その6)で示した空間充填18面体の3等分体にある赤い線は,二面角が60.3652°になる線と思われるが,赤い線と黒い線の角度を計算すると9.8246°となった.

 計算に用いたエンゲルの論文のデータは有効桁数の少ないものであるから,この値は信頼性が高いとはいえない.写真と比べると少し小さいようにも見えるが,ちなみに写真の赤い線と黒い線の角度は12.2834°となった.

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