■非周期模様(その10)

 フィボナッチ列(1次元非周期模様)は次のようにして得られる.

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【1】投影法

[1]xy平面に,原点を通る直線y=mx,m=tanθ=1/τをひく.

[2]y=mx+τ^2/(1+τ^2),y=mx−τ/(1+τ^2)をひく.これらは[1]とcosθ,−sinθだけ離れた平行線である.

[3]直線の横切った正方格子の格子点から[1]に垂線を下ろす.

[4][1]の直線上に垂線の足の点列ができる.その2点間の距離はcosθ,sinθの2種類である.これをa,bとみなせばフィボナッチ列と同じものになる.

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【2】グリッド法

[1]xy平面に,原点を通る直線y=mx,m=tanθ=1/τをひく.

[2]直線の横切った正方格子の右上の格子点から[1]に垂線を下ろす.

[3]直線上に垂線の足の点列ができる.

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 4次元立方体にある回転操作を施し,xy平面上に直投影すると,2次元非周期模様が現れる.

 この回転操作の3×4行列の成分には,たとえばs=1/√2,t=1/2となるが,これはxy平面上に5次元立方格子の断面の90°と45°の角度をもった平行線の集まりが2次元非周期模様となって現れるのである.

 これを投影法で処理すると・・・一般にn次元の立方体を2次元平面に直投影して,非周期模様を作ることを考える.n次元立方格子は互いに平行なn−1次元面の組み合わせになっているが,各ファセットと2次元平面の交わりは,次元公式を使って

  (n−1)+2−n=1

すなわち,1次元の広がりをもつn組の互いに平行な直線となり,直線に囲まれた空間はn次元立方体の2次元平面による断面となる.

 R^nは投影空間R^2とその直交補空間R^n-2(n=3のときはR^2の垂線)に分解される.R^nの単位ベクトルeのそれぞれの空間への投影をq,pとする.

  V=Σλp

はn次元立方体をR^n-2へ直投影した立体Vの内部をさしている.Vはn−3次元平面で囲まれる立体となる.

 n=4の場合,Vは正八角形

 n=5の場合,Vは黄金菱形12面体

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